富士の裾野に広がる桜色のじゅうたん。
初夏の訪れを告げる光景だ。
その正体は桜エビ。
香ばしさが引き立つかき揚げ。
鮮度が勝負の釜揚げ。
旬の桜エビが食卓を飾る季節がやってきた。
国産の桜エビが取れるのは駿河湾だけ。
水深は最大2500メートル。
日本一深い湾駿河湾は今桜エビ漁の季節。
駿河湾に面する桜エビの町由比の漁港。
桜エビ漁は年に2回春と秋にそれぞれ3か月ほど行われる。
桜エビ漁師に密着した。
漁師歴18年の石川貴浩さん。
目標はいくらでもね取れりゃあ取りたいよ。
それが目標。
取れるだけ取る。
漁師歴40年の父・安史さん。
息子の貴浩さんに桜エビ漁の全てを叩き込んできた。
父の背中を追いかけて漁師になった息子。
この日も親子で同じ船に乗り込んだ。
いよいよ桜エビ漁が始まる。
大漁を目指し船出だ。
出航するとまもなく貴浩さんに無線連絡が入った。
(無線)「貴浩」
(貴浩さん)ほーい。
ああ了解見てみるよ。
桜エビ漁は総勢120艘の大船団で互いに情報を共有しながら行う。
さらに120艘の船が2艘ずつタッグを組み60組に分かれて各漁場で桜エビを追うのだ。
桜エビ漁は夜行われる。
その理由は桜エビの習性だ。
普段200メートル以上の深海にすむ桜エビは夜になると餌のプランクトンを求めて海面近くに上がってくる。
そのタイミングを狙って網をかけるのだ。
魚群探知機が何かの群れを捉えた。
船内が慌ただしくなる。
網の準備が始まった。
網は2艘の船で引く。
一晩の漁で網を投入するチャンスは1回しかない。
並走する船の間隔は桜エビの群れに合わせる。
速度はもちろん2艘の間隔が少しでも狂えばうまく桜エビの群れを捕らえる事は出来ない。
網を海に送り出す長さは船の間隔や動きなどを見ながら判断する。
その役目が父・安史さんだ。
(貴浩さん)120アールだよ。
巻かなきゃダメだよ。
安史さんは海中での網の広がりを頭の中でイメージしながら網の長さを微調整する。
漁師歴40年の経験と判断力が頼りだ。
網を引く事20分。
漁の成果は網を上げるまでわからない。
網が上がった。
そこには黒い魚が…。
漁師たちの雰囲気が重くなった。
桜エビを食べに追ってきたハダカイワシが大量に網に入っていたからだ。
漁師たちにとってハダカイワシは厄介な存在。
桜エビは傷みが早い。
水揚げして30分も経つとアンモニア臭が出て売り物にならなくなるからだ。
そのため一刻も早くポンプで吸い上げケースに入れて氷水で冷やさなくてはならない。
桜エビ漁は時間との戦い。
ハダカイワシを取り除く手間はまさに時間の無駄なのだ。
なんとか時間内に作業を終えた。
しかし皆の表情が険しい。
というのも今日の収穫は15箱。
目標の10分の1だという。
実は今年は近年まれにみる不漁。
いつもの例年の1割ぐらいしか取れてないって事だったんで…。
(スタッフ)困りますね。
困りますね。
これから挽回してくれればと思ってますけど。
去年は7万人が訪れた桜えびまつりも20年ぶりに不漁で中止となった。
なぜ今年は不漁なのか?研究者に話を聞いた。
今年の冬はですね少なくとも表面水温が大体ですね1度からですね0.5度ぐらい低い状況がありましたのでエビの成長がですねどうしても遅くなってそれで不漁になりやすい条件が出てると。
生まれて1年で大人になるためわずか1度の水温の差でも成長に大きな影響を及ぼすのだ。
さらに不漁に追い打ちをかけたのが天候。
雨や風で漁に出られない日が多く3月の解禁から漁に出られたのは数えるほど。
たとえ晴れても漁に出られるとは限らない。
風が強くなるような予報になっちゃってますね。
桜エビ漁は2艘の船が連携して行う。
風が強くなると船同士が接触する危険が高く晴れていても漁が中止になる。
(電話)
(電話)休みです。
漁協のほうから休みのファクス。
漁が出来るのは6月10日まで。
いつでも漁に出られるよう準備は怠らない。
特に魚群探知機のメンテナンスは欠かせない。
出れる時のためにとりあえずは万全の態勢で漁に臨むっていう事です。
漁師は待つのも仕事。
そう言って貴浩さんは作業を続けた。
漁が中止となった晩石川さんのお宅を訪ねた。
(笑い声)
(笑い声)
(安史さん)漁が出来なきゃこんな嫌な仕事はないじゃない。
(貴浩さん)確かにそれは…。
量的にちょっと取れなかったっていえば悔しい思いするし…。
だからまた次取ってやろうっていう気持ちになって。
もうその繰り返しですよ。
もう俺より漁師っぽいよな。
(千鶴子さん)漁師っぽいね。
安史さんよりそうだね貴浩のほうがね。
継いでくれるお宅も…うちもあるでしょ。
でもうちはまあ長男が継いでくれてるのでね。
嫁も一生懸命やってくれて本当にありがたいと思ってます。
桜エビ本当に…。
ねっ桜エビはありがたいね。
そうだね。
数日後。
風もなく絶好の漁日和だ。
漁に出るのは10日ぶり。
港にはいつもより早くから漁師たちが集まっていた。
久々だね本当にね。
フフフフ!本当に久々の漁だね。
その頃お母さんが向かったのは町のお不動さん。
漁に出る日は必ずお参りに来て無事を祈る。
(鐘)船が無事に帰ってくるっていう事が一番ですね。
私の役目としてここへ拝ませてもらってます。
夕暮れに映える富士山を背景に桜エビ漁が始まった。
(シャッター音)
(能年)なんか夢中になって画面しか見えなくなる感じが気持ちいいです。
あっまつ毛。
EOSM2
まつ毛がある。
(シャッター音)
(能年)あっ失礼します。
なんかかっこいい。
(シャッター音)ああ速い。
タッチ。
(シャッター音)
(シャッター音)すげー。
EOSM2
ぴゅーん。
SNSの写真そのままだといいね。
ですが
(観客)うんうん。
「PIXUS」でプリントすると
(無音)
(桐谷)いいね〜!
…になります
タブレットからもう一度
いいね〜!!
もちろんカメラからも直接
(無音)やっぱりいいね〜!!
(拍手・歓声)
どんな写真もカンタンキレイ
10日ぶりに駿河湾の桜エビ漁が始まった。
富士山もくっきりと見え久しぶりの漁日和だ。
出航してすぐ貴浩さんが海の変化に気がついた。
(貴浩さん)この前の時さ60メーターぐらいまでずっとこう汚れてたじゃん。
それなくなったね。
海の濁りが消えている。
今日は期待出来るかもしれない。
出航から30分。
船のエンジンが止まった。
これ!これ!
(貴浩さん)このぐらい出てるから…。
水深180メートル付近に小さな群れがいるようだ。
小さな群れを早めに発見する事が大事だという。
桜エビは海面に向かって上昇しながら次第に大きな群れを作る。
水深80メートル。
桜エビは巨大な群れに変わっていた。
さあやりましょう!桜エビの群れを狙って網を仕掛ける。
急がないといつまでも大きな群れでいるとは限らない。
(安史さん)貴浩綱いくつだ?120出して!120!舵きるなよ!パートナーの船から網の一方を受け取り全速力で離れていく。
ここからはこの道40年安史さんの経験と勘がものを言う。
船の位置を見ながら網がちょうど桜エビの群れを捕らえるようにコントロールしていく。
貴浩さんはパートナーの船と連絡を取り合い慎重に速度を調整している。
網を引く事25分。
2艘は再び接近。
いよいよ網が上がる。
体長4センチほどの小さな獲物に向かって男たちが全神経を集中する。
大丈夫大丈夫。
網が想像以上に重い。
これは大漁の印なのか?網の中が見えてきた。
そこには泳ぎ回る無数の桜エビの姿が。
待ちに待った今年一番の大漁だ。
素早くポンプで吸い上げる。
大量の桜エビがケースに収められていく。
氷かけとけよ!氷!氷いっぱいかけとけよ。
ちょっと…短えんじゃねえの?すぐに氷水で締めると桜エビは透明に輝きだす。
まさに海の宝石だ。
あっという間に100ケースを超えた。
待ちに待った大漁だ。
しかしここでトラブルが発生。
氷水が足りなくなってしまったのだ。
すぐに冷やさなければ残りの桜エビが売り物にならなくなってしまう。
連絡を受けて仲間の船が駆けつけた。
急いでケースを渡し代わりに冷やしてもらう。
今200ちょっとかな。
200ちょっと。
(スタッフ)これだけ取れると気分いいもんですか?そうやね。
朝6時桜エビが競りにかけられる。
10日ぶりの競りに市場は活気づく。
4万7390円まで!10杯カネヒ!10杯望仙!今日は15キロの1箱で4万7000〜8000円ですね。
まだ高い。
この日は1箱15キロで4万8000円ほどの高値が付いた。
漁師の手元を離れた桜エビは加工業者の手に渡る。
釜揚げや冷凍に回るものもあるがなんといってもこの時期の風物詩は天日干し。
富士の裾野に桜色が広がる。
(シャッター音)
(妻夫木)僕は…。
なぜわかったんですか?…影?
(シャッター音)
(シャッター音)
EOS70D
(能年)あっ失礼します。
なんかかっこいい。
(シャッター音)ああ速い。
タッチ。
(シャッター音)
自分の思ったところにピントが合ってなんか面白いです
(シャッター音)すげー。
おおー!うさぎが…。
あっまつ毛。
EOSM2
まつ毛がある。
競りからわずか20分後。
早朝市場で競り落とされた桜エビが大急ぎで富士山の裾野に運び込まれる。
富士川の河口にある桜エビの干し場だ。
(スタッフ)難しそうですね。
そうですね。
後ろで下がりますから結構疲れますよ。
鮮度という事に関してはやはり早め早め。
置いとくと黒くなっちゃいますから。
痛みやすいはずの桜エビが日光で温めても腐らないのはなぜか?桜エビの研究者は干し場に敷き詰められた石が重要だという。
温かい石が上に軽い空気を持ち上げると空気が回って乾かすようなそんな働きをしてるんですね。
太陽の中のUVで殺菌をしながら乾燥させるという。
UVドライという言い方も出来るかもしれませんね。
5月に入りようやく明るい兆しが見え始めた桜エビ漁。
漁師たちの顔に笑顔が戻ってきた。
今年もまた富士の裾野に桜色のじゅうたんが広がる。
新緑の季節を迎える北海道美瑛。
鮮やかな色彩が大地を覆う頃神秘の絶景が姿を現す。
コバルトブルーに輝く池。
この世のものとは思えない不思議な色彩が生まれた理由とは?次回『奇跡の地球物語』美瑛が生んだ青の絶景に迫ります。
2014/05/18(日) 18:30〜18:56
ABCテレビ1
奇跡の地球物語 富士山に広がる桜色のじゅうたん〜駿河湾;桜エビ漁に密着![字]
富士山の裾野に広がる桜色のじゅうたん。駿河湾の初夏の風物詩、桜えびの天日干し。84隻の大船団で行う桜エビ漁。桜エビの特殊な生態と戦う漁師たちに密着!
詳細情報
◇番組内容
富士山のふもとに広がる日本一深い湾・駿河湾。今、桜エビ漁が最盛期を迎えている。200メートル以上の深海で暮らす桜エビは、水揚げするとすぐに傷む。そのため桜エビ漁はまさに時間との戦い。壮絶な桜エビ漁に密着し、海の宝石・桜エビの生態に迫ります!
◇番組内容2
古代のミステリーから日常のふとした疑問まで、人間を取り巻くあらゆる物事を最先端科学で紐解いていく…。明日誰かに話したくなる、新しい発見がいっぱいの番組です。
◇出演者
【ナレーター】山寺宏一
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/miracle-earth/
◇おしらせ2
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。
ジャンル :
バラエティ – その他
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
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日本語
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