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【夏場所】白鵬、絶句「冷静な判断で賭博問題乗り越えた」…放駒前理事長死去

2014年5月19日6時0分  スポーツ報知
  • 嘉風(右)を押し出しで下した白鵬

 ◆大相撲夏場所8日目 ○白鵬(押し出し)嘉風●(18日・両国国技館)

 ただ一人、全勝の東横綱・白鵬が新小結の嘉風を押し出しで破り、史上最多の8場所連続、通算33場所のストレート給金を直した。打ち出し後は放駒前理事長の訃報を聞き絶句。大相撲が存亡の危機に立たされた八百長問題で采配をふった前理事長の情熱に報いるためにも29回目の優勝を譲らない覚悟だ。中日を終え全勝の白鵬を1敗で東大関・稀勢の里と平幕の勢が追う展開となった。

 白鵬は動じなかった。初日に日馬富士を押し出した嘉風が果敢に飛び込んできた。一瞬、肩すかし気味に引かれ、両足がバタ付く。しかし、心は落ち着いていた。「相手は勢いが余ったね」。左を深く差し腕を返すと形勢逆転。土俵際へ追い込むと最後はもろ手で突いて押し出した。

 初日からただ一人の全勝は、自身が持つ最多記録を更新する通算33場所目、8場所連続のストレート給金だ。「一つ一つの積み重ねでその結果です。自分自身、記録を達成していくというものがモチベーションになっています」7場所連続優勝、63連勝など様々な記録へ挑んできた横綱。ストレート給金という記録への意欲が安定した相撲の源だった。

 放駒前理事長の悲報は、打ち出し後に知った。報道陣から聞かされると表情が一変。しばらく絶句し「残念だね」と言葉を絞り出した。前理事長は野球賭博問題が発生した10年8月に理事長に就任した。当時、白鵬は不滅の大記録とうたわれた双葉山の69連勝へ挑んでいた。国技の屋台骨が大きく揺れる状況で横綱としての責任を果たした。結果、賭博問題が収拾した九州場所で双葉山に続く63連勝を達成。そんな白鵬を放駒前理事長は「これだけの問題が起きた中、白鵬が土俵でまさに孤軍奮闘してくれた。白鵬の存在がファンの目を土俵に戻してくれた。本当に素晴らしい横綱ですよ」と絶賛していた。それほどの評価してくれた先人の悲報。言葉を失うのは当然だった。

 「物静かで冷静な方でした。あの冷静な判断があったからこそ、乗り越えたと思います」と白鵬。前理事長が命をかけて守った土俵。生前にかけられた言葉に報いるためにも賜杯を抱く。

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