「真犯人」メールは元会社員か05月19日 11時44分
パソコンの遠隔操作事件で、先週、報道各社などに届いた自分が真犯人と主張するメールについて、捜査当局が、保釈されている被告の元会社員自身が送信したという見方を強め、調べを進めていることがわかりました。
東京地方検察庁は、元会社員の保釈取り消しを請求することを検討するものとみられます。
パソコンの遠隔操作事件では、インターネットの掲示板などに殺害や爆破の予告を書き込んだとして、インターネット関連会社の元社員、片山祐輔被告(32)が、威力業務妨害などの罪に問われています。
片山被告はことし3月に保釈されましたが、その後の裁判で一貫して無罪を主張しています。
この事件について、5月16日の片山被告の裁判中に報道各社などに自分が真犯人と主張する人物からメールが届き「自分が片山被告のパソコンをウイルスに感染させたうえで、他人のパソコンを遠隔操作したのが事件の真相だ」と記していました。
ところが捜査関係者によりますと、メールが送られる前日に片山被告が東京の荒川の河川敷を訪れたのを捜査員に目撃され、片山被告がその場で埋めたとみられる携帯電話から、メールを送った痕跡が見つかったということです。
メールは翌日の片山被告の裁判中に送信されるよう、タイマー機能が使われた疑いがあるということです。
これを受けて、東京地検は片山被告の保釈取り消しを裁判所に請求することを検討するものとみられます。
片山被告はメールについて先週の会見で、自分が送ったことを否定したうえで「犯人しか知り得ないような内容が書かれており、信ぴょう性は高いのではないか。これをもって裁判を終わりにして欲しい」と話していました。
片山被告の弁護団が19日午前、取材に応じました。
この中で佐藤博史弁護士は「片山被告は自分がメールを送ったと疑われていることを伝えると、寝耳に水という様子で驚いていた。メールが届いてからも被告とは何度も打ち合わせしているが、態度や話しぶりから被告がメールを送ったとは考えられないし、裁判も不利な方向に向かっているわけでもないので送る動機もない。メールを送った携帯電話を埋めたというのも、本人に確認はできていないが、そんな怪しい行動をとるとは思えず、被告は絶対に送っていない。もし被告がみずからメールを送ったのが事実なら、私たち弁護団もあざむかれたということになるがそういうことはないと信じている」と述べて無罪主張に変わりがないことを断言しました。