(前回の続きである)

気分障害におけるビタミン
Vitamins in mood disorders

 ビタミンB(VB)、ビタミンD(VD)、葉酸、微量元素は、ニューロンの機能に必要不可欠であり、精神障害の特定のタイプ、特に、うつ病に対しては保護効果を与えることができる。栄養障害、慢性疾患、老齢、ストレス、遺伝子多型などによって、これらの栄養素が体内で枯渇する。VB12、VD、葉酸の低いレベルは、記憶力低下や認知機能障害に関連している。食事から摂取された葉酸は体内でL-methylfolate(活性型)に変換される
 標準的な薬物療法を受けている大うつ病や統合失調症へのmethylfolate 15 mg /日を補完するRCT(123名)が行われた。methylfolateによる補完によって臨床症状や社会症状の有意な改善は報告された。しかし、うつ病における葉酸やVB12の単独療法を用いた治療では結果は様々であった。三環系抗うつ薬を内服しているうつ病や認知機能障害を持つ高齢者へのビタミンB複合体(B1、B6、B12)と葉酸の補完では効果が認められた。抗うつ薬へ反応しないケースと葉酸のレベルが低いことはリンクしている。フルオキセチンを内服している127名のケースに葉酸400 mg /日が補完された臨床試験では、プラセーボが補完された場合が61%の反応率だったが、葉酸が補完された場合は反応率は94%まで上昇した。しかし、最近行われた試験では、抗うつ薬を内服中の成人への葉酸(400μg/日)とVB12(100μg/日)の補完が試されたが、補完をサポートするような結果は得られなかった。さらに、高齢のうつ病患者にへの葉酸+VB12の補完のプラセーボ対照試験でも有意な結果は得られなかった。
葉酸

 要約すれば、VBと葉酸の臨床試験では、大うつ病においては曖昧な結果しか得られていない。methylfolateとVBはの安全性は良好であるが、アレルギー反応が出る場合がある。葉酸とVBは、ホモシステインのレベルを低下させるため、心臓保護作用ある。しかし、逆に、血管内皮の増殖を刺激しステントの再狭窄を引き起こす可能性がある。ただし、男性における所見であり、女性には認められなかった。

 注; 葉酸はうつ病の補完としてに推奨されている。推奨使用用量は、成人では400μg/日、妊娠可能な範囲年齢の女性では800μg/日であり、抗うつ薬と組み合わされた時のL-methylfolateは15mg/日とされる。

 ビタミンD(VD)の低下が、大うつ病や他の気分障害で同定されているが、これらの患者へのVDの補完療法の結果は一貫していない。高齢女性の冬季抑うつの防止におけるVD(800IU)の補完では肯定的な結果は得られなかった。肥満を有する大うつ病性障害の男性と女性が1年間、VD(20,000または40,000 IU/週)が与えられた。血清の25 -ヒドロキシVDのレベルが低い患者(<40 nmol L)ではうつ病スコアが高く、血清の25 -ヒドロキシビタミンDのレベルが高い患者(≧40 nmol L)でうつ病スコアは低く、プラセーボよりもVDサプリメントにてうつ病の有意な改善が認められた。しかし、最近行われたプラセーボ対照試験では、25 -ヒドロキシVDのレベルはうつ病を有する患者において有意に低かったが、VD3サプリメントの補完はプラセーボよりも優位な症状の改善は示されなかった。同様に400 IU /日とカルシウムとVD3サプリメント与えられた高齢の女性のうつ病でも否定的な結果が報告された。一方、最近のレビューでは、VD欠乏症に関連する自殺のリスクがVDの補完にて低下することが示唆されている。
ビタミンD

 CAMに使用される他の栄養素としては、ω3脂肪酸、コリン、5 -ヒドロキシ-L-トリプトファン、イノシトール、N -アセチルシステインなどがあるが、これらの物質は、気分の調節に関与している神経回路の機能に重要である。

気分障害におけるω3脂肪酸
Omega-3 fatty acids in mood disorders

 ω3脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)は、炎症性エイコサノイドを減少させ、炎症誘発性サイトカインの放出を防止し、細胞膜の流動性を維持するために必要不可欠である。αリノール酸もω-3脂肪酸(EPA、DHA)に変換される(その変換効率には個体差があるのだが)。しかし、動物や直物由来のω6脂肪酸は、ω3脂肪酸よりも優先的に消費される。そのため、ω6脂肪酸の摂取が増えれば、細胞膜の膜流動性や柔軟性に悪影響を与える。逆に、ω3脂肪酸の補充は細胞膜の流動性を維持する方向に作用する。細胞膜中のω3脂肪酸がω6脂肪酸によって置換されることは、膜の流動性や柔軟性の喪失繋がるものと考えられており、この事象は単極性・双極性うつ病に関連しているようである。このようにして、ω3s脂肪酸が不足すると炎症性エイコサノイドや炎症誘発性サイトカインのレベルが順次増加していく。神経細胞の膜タンパク質の乱れが、酵素、受容体、イオンチャネル、神経伝達物質などの障害を引き起こす。ω3脂肪酸のサプリメントを内服した双極性障害の患者(12名の女性)の研究では、神経細胞膜の流動性や柔軟性に有意な改善を認めた。
http://en.wikipedia.org/wiki/Omega-3_fatty_acid 
ω3不飽和脂肪酸
 
 一方、EPA/DHAの低い割合や患者選択の際のバイアスという方法論的な違いよるものかもしれないが、うつ病におけるω3脂肪酸の効果に関しては相反する結果が得られている。6件の研究ではうつ病への有効性は認められなかったが、13件の研究は、うつ病へのω3脂肪酸の有効性が報告された。また、EPAの効果を調べたメタ分析では、EPAが60%以上含まれるω3脂肪酸(DHA+EPAとして200~2200 mg /日)の場合に限りうつ病の症状に有効であった。うつ病にシタロプラムへω3脂肪酸を補完したプラセーボ対照試験では、シタロプラム+ω3脂肪酸のグループにおいて、抗うつ効果のスピードの改善は見られなかったものの、抑うつスコアの有意な改善認められた。

 うつ病ではω3脂肪酸が欠乏すると自殺の危険性が増大する。大うつ病患者の死後脳における研究では、眼窩前頭皮質のω3脂肪酸(DHA)のレベルの低下が見出されたが(女性患者の32%に、男性患者の16%に)、低い DHAのレベルはうつ病の自殺リスクのマーカーになり得ることを示唆している。他の臨床試験でも、単極型、双極型のうつ病への治療におけるEPAとDHAの補助的な役割を支持している。ω3脂肪酸は妊婦の大うつ病の治療にも有効であり、乳幼児の発達にも影響を及ぼさず安全である。魚の消費量の少ないこととω3脂肪酸レベルの低さが、女性においてはうつ病と関連しているようである(男性の場合よりも)。一方、シチジンやピリミジン(pyrimidine)は前臨床試験にて抗うつ様効果を有することが報告されているが、双極性障害(45名)にω3脂肪酸±シチジン(Cytidine)が試されたが、うつ症状に対しては有意な効果は認められなかった。うつ病にへの治療としてω-3脂肪酸の使用が推奨されるためにはさらなる研究が必要である。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17188654

 ω3脂肪酸は予防的な役割をも有する。興味深いことに、双極2型障害の有病率はシーフードの消費量と関連している(魚を食べないと双極II型障害の有病率が増加する)。1日量として、1.5~2.5gのEPAを与えられた双極1型障害の患者( 10名)のオープンラベル研究では、8割の患者でうつ病スコアが50%減少していた。双極性2型障害におけるω3脂肪酸(6.2gEPA+3.4mgDHA+1~2gエチル-EPA)の従来の薬剤への補完的な役割が立証されている。しかし、従来の薬物治療を受けていた双極性障害とラピッドサイクラーへのRCTでは、EPA 6 mg /日、4か月間が試されたが、躁症状やうつ症状への有意な効果は認められなかった。これらの否定的な結果は、DHAが含まれないEPAのみの使用や治療抵抗性のラピッドサイクラーの患者が含まれていたことが原因である可能性がある。気分変調症やラピッドサイラーの患者にはEPAやDHAは高用量が与えられるべきである(推奨使用量8~10g/日)。最近行われた5つの研究へのメタアナリシスでは、躁症状のスコアには効果がなかったが、うつ症状の大幅な改善が見出された。このように双極性患者のうつ症状の治療へのω3脂肪酸の補助的な役割が支持されている。

 妊娠中の女性は、ω3脂肪酸のストックが枯渇し、産後うつ病や双極性うつ病のリスクが高まる。全ての向精神薬は妊婦への副作用や、胎児・乳幼児の発達に悪影響を及ぼすリスクが増大する恐れがある。ω3脂肪酸によるCAM療法は、大うつ病を有する妊婦への安全な代替手段となる。 EPA+DHA(3~8 g /日)は大うつ病を有する妊婦や産後うつ病に効果的であることが判明し、胎児への悪影響も報告されなかった。ただし、このような研究者は大きなサンプルで繰り返される必要がある。さらに、月経前症候群、月経前気分障害、分娩前・産後うつ病、母乳、更年期への移行に有用な特定のCAM療法を明らかにする必要がある。

 ω3脂肪酸は、双極性障害を持つ児童や青年においても安全に使用できる。EPA(1290 mg /日)+DHA( 4300 mg /日)が双極性障害の未成年患者(6~16歳、20名)に試されたが、8週間後には35%の被験者の躁症状のスコアが50%以上も減少していたことが判明した。これは、小児のうつ病の結果とも一致していた。しかし、ω3脂肪酸は、小児双極性障害の2/3には効果がないことが示された。しかし、この結果を再確認するために大規模な研究が必要である。小児科の双極性障害は治療が困難な状態であり、一部の小児双極性の患者は、CAM療法から利益を得ることができる。

 ω3脂肪酸、レシチン/コリン小児双極性障害におけるCAMとして潜在的に有用であることが報告されている。さらに、S-アデノシルメチオニンイノシトールも、小児の抑うつ症状の治療において有効であることが報告されている。これらの化合物は有用な補助療法であるが、小児双極性障害のスタンドアロン療法としての使用をサポートする報告はわずかしかない。 小さな非盲検試験ではあるが、多栄養素サプリメント(EMPower)によって、双極スペクトラム障害を持つ児童は、最終的にうつと躁の両方のスコアの有意な減少を認めた。副作用として報告されたものは胃部不快感だけであった。双極性障害の児童の躁の症状ではω3脂肪酸による治療の効果は非常にわずかでしかない
 
 小児におけるω3脂肪酸の最も一般的に報告される副作用は、嘔気、胸焼け、腹痛、げっぷ、鼓腸、そして未精製の魚油製剤を高用量使用した際に生じる下痢である。ω3脂肪酸の高用量では、血小板凝集能の低下による出血性のエピソードが生じたり、躁病相への引き金となることがある。ω3脂肪酸の使用は抗凝固療法や抗糖尿病薬の患者では厳密に言えば避けるべきである。魚油に見られるいくつかのω3脂肪酸は、心臓に悪いLDLコレステロール(動脈硬化の原因になる)を増加させることがある。

 注; ω3脂肪酸はEPAとDHAが同時に含まれていないと効果は弱まる(1:1.5~1:2くらいの比率が良いだろう)。その推奨使用用量は1~2g/日である(3gを超えないこと)。健常なケースでは週2回で良い。ただし、精神疾患がある場合は毎日摂取した方が良い。双極性障害では躁転を惹起することがあるため気分安定化剤との併用が必要である。
EPA+DHA intake

双極性障害におけるコリン
Choline in bipolar disorder

 コリンも、躁症状を改善する効果がある。(注; コリンはアセチルコリンと膜ホスファチジルコリンの前駆体であり、必須栄養素である)。小さなサンプル(6名)の非盲検試験ではあるが、治療抵抗性のラピッドサイクラーの双極性障害にリチウム+コリン2000~7200 mg /日の補完によって躁病の症状の改善をもたらした。リチウムで治療されているラピッドサイクラーの双極性障害へのコリンのRCTでは、コリンの補完(12週間)によって脳内のプリンレベルの低下が報告されたが、これは抗躁効果に関連している。コリンの経口投与によって、双極性障害の患者における細胞膜中のリン脂質の合成が増加し、アデノシン三リン酸生産の需要が増加したが不十分なままにあるミトコンドリアの状態を修正した。このように小規模な研究ではあるが、コリンの補完は双極性障害の躁症状を改善する効果が示されているが、さらに大規模な研究が必要である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%B3_(%E6%A0%84%E9%A4%8A%E7%B4%A0)
コリン

双極性障害におけるイノシトール
Inositol in bipolar disorder

 イノシトールは、細胞内セカンドメッセンジャーシステムにリンクしているホスファチジルイノシトールの前駆体であるが、うつ病パニック障害などの精神疾患の治療においてプラセーボよりも有効であることが示されている。使用される用量は、12,000~20,000 mg /日である。イノシトールは植物や動物に見出されるビタミン様物質であるが、化学合成をすることができる。双極性障害へのイノシトールのRCTでは有意差は認められなかった。しかし、大規模な研究によりイノシトールの効果が報告されている。治療抵抗性うつ病相を有する双極1・2型障害(66名)の研究では、気分安定化剤へのラモトリギン、イノシトール、リスペリドンの増強効果が検討されたが、改善率は、ラモトリギンは23.8%、イノシトールは17.4%、リスペリドン4.6%であった。Nierenbergらは、イノシトールによる補完は治療抵抗性うつ病への適切な対処方法であることを示唆した。イノシトールは鼓腸となる頻度が多く、時に躁病を誘発する。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%82%B7%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB
イノシトール

双極性障害における5 - ヒドロキシ-L-トリプトファン
5-hydroxy-L-tryptophan in bipolar disorder

 5 -ヒドロキシ-L-トリプトファンは、セロトニンの前駆体であり、セロトニンの欠乏は、大うつ病を引き起こす可能性がる。うつ病の個人治療として広く使用されていた栄養補助食品としてのL-トリプトファンは好酸球増多症や筋痛症候群を引き起こすため、5 -ヒドロキシ-L-トリプトファンによって置き換えられた。好酸球増多症や筋痛症候群は、5 -ヒドロキシ-L-トリプトファンでは生じない。5 -ヒドロキシ-L-トリプトファンの使用用量は200~300 mg/日である。ヒドロキシ-L-トリプトファンは大うつ病における抗うつ剤を補完する形で使用された時にデータが優れていたが、単独で使用された時でもプラセーボよりも優れていた。最も一般的な副作用は、嘔気、嘔吐、下痢、頭痛、不眠などである。5 -ヒドロキシ-L-トリプトファン単独使用でも、SSRIとの組み合わせ使用でも、セロトニン症候群は報告されていない。さらに、5 -ヒドロキシ-L-トリプトファンとモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)との併用でもセロトニン症候群は報告されていない。Sarrisらは、気分障害において抗うつ薬と気分安定を補完する方法としては、ω3脂肪酸、S-アデノシルメチオニン、葉酸、5 -ヒドロキシ-L-トリプトファン、イノシトール、ラベンダー、漢方薬が効果的であったと述べている。
N双極性障害における-アセチルシステイン

 N -アセチルシステイン(N-acetylcysteine、NAC)は、グルタチオンの前駆体であり、脳における重要な抗酸化物質であり、酸化ストレスを低減させる。双極性障害や大うつ病性障害では酸化ストレスの増加とグルタチオン代謝の変調が報告されている。気分安定化剤にNAC(2g/日)が補完された双極性障害のRCTでは、うつ病、躁病、双方ともに大幅な改善が認められ、QOL、社会的機能、職業的機能も改善した。他のレビューでは、NACは双極性障害などの精神疾患に効果があり、双極性うつ病の患者に有益であることが分かった。ポジティブな反応を得るためには、2 g /日を8週間内服する必要があるが、この用量は双極性障害では忍容性には問題はない。
気分障害におけるホルモン
Hormones in mood disorders

 デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は副腎生成されるアンドロゲンであり、男性も女性も中年期になると低下する傾向がある。大うつ病ではDHEAの低下が報告されており、DHEAの使用は気分の改善に関連する。DHEAの主な代謝産物であるDHEA硫酸塩の増加も、うつ病や気分変調症の改善と関連している。大うつ病、軽症~中等度のうつ病(男23名、女23名)へのDHE( 90 mg/日、3週間、その後、450 mg /日に増量されさらに3週間)のRCTでは、DHEA群の23名被験者のベースラインのハミルトンスコアが50%以上減少した(プラセーボ群では13名が50%以上減少した)。DHEA群は、性機能の改善も示した。
 
 DHEAは、ヒト免疫不全ウイルス/後天性免疫不全症候群、慢性うつ病、気分変調症への効果も示されている。DHEA100~400 mg /日、8週間が投与された患者の64%はうつ病スコアが50%以上減少した(プラセーボでは38%)。効果ははフォローアップ期間中の8ヶ月間維持し、硫酸DHEAのレベルも高く維持された。亜症候性のうつ病や気分変調は大うつ病と同じ疾患ではない。最近の研究では、拒食症(26名)へのDHEA (100mg /日)投与にて、骨髄密度はプラセーボ群との差はなかったが、DHEA群では、気分と体格指数に有意な改善が認められた。このように摂食障害を有する患者の併存うつ病もDHEAによって利益を得ることができる。一方、DHEAは躁症状、刺激、攻撃性を誘発し、テストステロンやエストロゲンのレベルを上昇させる恐れがあり、さらに、それによって、子宮癌、乳癌、膣からの出血、子宮内膜増殖症、静脈血栓症のリスクが高まるため、双極性障害では低用量で使用する必要がある。。
(次回に続く)

 なお、神経保護作用を有すると思われる物質は気分障害への補完療法として期待できると思える。神経保護作用を有する物質については既にこのブログでも触れられており、それを参照して頂きたい。特に、抗炎症作用や抗酸化作用を有する物質の併用は気分障害への有力な補完療法になるものと考えられている。さらに、プロバイオティクスにて腸内細菌叢を整えておくことも重要な補完療法だと言えよう。
 最近の双極性障害への対応としての考え方は、早期から炎症や酸化ストレスに対抗できる神経保護作用のある物質を併用すべきであるという考え方になってきていることに注目しておかねばならない。

 気分障害(双極性障害を含む)へのサプリメントとしては他にも、レシチン、タウリン、GABA、SAME (S-adenosyl-methionine)、イチョウ、バレリアン、などがある。

 前回のブログでも紹介されているSAMEはうつ病に推奨され、TCA(三環系抗うつ剤)のように作用する。さらに、SSRIやSNRIの効果を増強するとも言われている。その使用用量は400~1600 mg/日である(3000mgが必要なケースもある)。
 
 イチョウは抗うつ剤による性機能障害を緩和する作用がある。なお、アルツハイマーなどの認知症の予防にもなるサプリメントだと言われていたが、その効果はないことが報告されている。
 
 バレリアン(Valerian、セイヨウカノコソウ、 Valeriana officinalis)は、不安や不眠に使用されている。ベンゾジアゼピンによる記憶力低下が生じるような高齢者では有効な代替となることがある。ADHDへの児童の入眠困難にも応用できる。推奨使用用量は450~600mg/日である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%A8%E3%82%A6%E3%82%AB%E3%83%8E%E3%82%B3%E3%82%BD%E3%82%A6
バレリアン
 
 なお、ホルモン関連では、甲状腺ホルモン製剤チラージンS、T4製剤だが体内でT3に変化する)もうつ病への有力な補完療法となることがある。甲状腺機能が正常範囲であっても、特に、うつが遷延しているようなケースでは甲状腺ホルモン製剤よく併用される。甲状腺ホルモンには抗うつ剤の効果が増強されるなどの効果がある。なお、甲状腺ホルモン製剤をいきなり中止するのは甲状腺クリーゼを引き起こすことがあるため危険であり、漸減し中止する方法を取らねばならない。
 甲状腺ホルモン