鉄道車両メーカー、近畿車両(大阪府東大阪市)は、大容量のリチウムイオン蓄電池を搭載した「自己充電型バッテリー電車」を開発した。小型エンジンで発電した電気を蓄えてモーターを動かす仕組みで、非電化路線でも走行できる。今秋にはJR西日本が和歌山県内で観光列車として初の営業運転を行う。ディーゼル車(気動車)より加速性能が良く環境にも優しい車両で、非電化区間のホープとして注目を集めそうだ。
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非電化路線用バッテリー電車「Smart BEST」。小型エンジンで発電しながら走る(近畿車両提供) |
電車の名称は「Smart BEST」。同社は2002年、省エネ型車両の研究に着手。06年からリチウムイオン蓄電池を搭載した「架線がなくても走行できる電車」の開発を進め、北米向けに開発した路面電車の技術をベースに12年夏に完成した。
充電のための小型エンジンを搭載し、走行に必要な電力は“自前”で発電。非電化区間でも外部から充電を必要とせず、長距離走行ができる。減速時に発生する電力を蓄電池に回収するなど「エネルギーの地産池消」(同社)も実現。発電時はエンジンを一定の回転数で効率よく回すため、気動車より燃費が良く騒音や振動も少ないという。
エンジンを回すため、一見すると気動車との違いが分かりにくいが、モーターで走るなど基本的な仕組みは電車に近い。電車と部品が共有化でき、保守の効率化も図ることができる。電車と同様の加速・減速性能があり、乗務員が操作する機器や配置も電車と統一化できる。
これまでJR西日本米子支社管内などで走行試験が行われ、非電化区間の山陰線や境線、山岳区間を含む伯備線で夜間走行している。路線の起伏や駅間距離などにより差はあるものの、現在運用している旧国鉄型の気動車に比べ燃費が2分の1以下に圧縮できるデータが得られたという。
JR西は9月から12月にかけて展開する「和歌山ディスティネーションキャンペーン」に合わせ、この車両を紀勢線新宮−串本間の観光列車として走らせる。ただ、その後の運用は未定で、蓄電池の寿命やコストなどクリアすべき課題もあるという。
開発を手掛けた近畿車両技術本部研究開発部の服部雄祐技師は「蓄電池の価格は下がりつつあり、まずは国内での導入を進めたい。将来的には非電化区間の多い東南アジアにも売り込みを図り、環境にやさしい車両を国内外に走らせたい」と夢を描く。
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