【ソウル=共同】韓国の朴槿恵大統領は19日、死者・行方不明者300人以上を出した旅客船セウォル号沈没事故に関する国民向け談話を読み上げ、「国民の受けた苦痛に心からおわびする」と述べて謝罪、韓国海洋警察庁の救助活動が事実上失敗したとして、同庁を解体すると表明した。
朴氏は、乗客を捨てて逃げた船長や海運会社などを非難する一方、乗客を救助しようとして亡くなった一部乗務員の名を読み上げながら涙を流し、事故が起きた4月16日を「国家安全の日」に定めると表明した。
また、ずさんな運航管理で事故を防げなかったとして、安全管理体制を抜本的に見直し、公務員の関連業界への天下り規制も強化する方針を明らかにした。
朴氏はテレビの生中継で謝罪し、数秒間頭を下げた。また今回の事故に「まともに対処できなかった」と政府の不手際を認め、その最終責任が「大統領である私にある」と述べた。
朴政権への中間評価とされる6月4日投開票の統一地方選を前に、事故対応をめぐって政権への批判が強まっていた。朴氏は国民に直接謝罪し、改革への努力を強調することで局面転換を図りたい考えだ。
しかし、朴氏は事故発生直後から当事者や担当者の責任を追及する姿勢を強調する一方、批判を浴びるまで謝罪や自身の責任に触れなかったため、既に時機を逃したとの見方もある。国民が談話に対して一定の肯定的な評価を下さなければ今後の政権運営にも大きな影響が出る可能性がある。
朴槿恵、韓国、海洋警察