「韓国の財閥は長所が20、短所が80」

 「韓国の財閥は長所が20、短所が80だ。支配構造に問題があるからだ」

 テンプルトン・アセット・マネジメントのエマージング・マーケット部門のマーク・モビウス会長はそう断言した。モビウス氏は新興市場向け投資の大家として知られ、50年近く韓国市場を見守った存在だ。

 モビウス会長は1987年に最初の新興国ファンドを創設し、現在の運用資産400億ドル(約4兆円)のうち4%を韓国株に投資している。

 モビウス会長は先月、ブログの中で、「韓国経済がこれまで成長できた主な原動力は財閥だったが、現在は韓国が財閥主導の経済システムゆえに支払わなければならないコストも少なくない」と指摘した。本紙はモビウス会長に電子メールで書面インタビューを行い、韓国経済と財閥に対する意見を聞いた。

―長年見守った韓国経済に対する評価は。

 「リサーチ会社に勤務していた1965年1月5日、韓国の消費者を対象にアンケート調査を行うため、初めて韓国を訪れた(その後毎年2-3回訪韓している)。現在の反映は驚くほどだ。しかし、今の韓国経済は家族中心的な企業(財閥)が巨大な産業と企業を支配しており、支配構造の発展に問題がある。また、失望すべき点の一つは他国よりも規制が多いことだ」

―財閥システムの長所と短所を採点してほしい。

 「現時点で長所と短所は20対80だ。最大の理由は企業の支配構造の問題だ。財閥による支配構造発展の限界は、韓国企業の低い配当率、自己資本利益率などとともに、世界の株式市場で韓国企業がディスカウントされる最大の原因だ」

―財閥システムの効率性に対するプラス評価もあるが。

 「財閥は経済開発の初期段階には効率的だ。しかし、現在の韓国の経済開発はかなり進んだ段階にあり、雇用に貢献する中小企業の育成が求められている。また、財閥の効率性は優れたリーダーシップが存在する場合に限り有効だ」

―財閥主導の経済システムで払うべきコストとは、具体的にどういうものだと思うか。

 「変化が必要な時期には、長年地位を守ってきた幹部の官僚主義と集団的思考が独創性を制限しかねない。また、財閥の成功は韓国社会で美化されている。そのため、韓国の若い人材は就職先を選ぶ際、小規模企業、新興企業、自営業などを二流扱いする傾向がみられる。若い人材が無視すれば、中小企業の発展は難しい」

―財閥の問題を克服するためには、どうすべきか。

 「現在韓国政府の改革政策には、財閥の問題点を解決する方策が含まれているように見える。政策の優れた趣旨が引き続き支持され、推進されることを期待している」

李仁烈(イ・インヨル)記者
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