スイスは18日の国民投票で、時給22スイスフラン(約2500円)の最低賃金を導入する提案を反対多数で否決した。導入されれば世界最高の最低賃金になるため注目を集めたが、主要スーパーなどの賃金は既にこの水準を上回っている。低所得者への支援策としては幅広い支持を得られなかった。
賛成23.7%に対し反対は76.3%にのぼった。スイスは一部の州が最低賃金の導入を決めているが、国としては定めていない。政府や経済界は企業収益を圧迫する懸念や、採用抑制による雇用情勢の悪化も想定されるとして反対を呼びかけていた。
今回の提案は主に労組などが国民投票の実施に必要な署名集めを支援し、物価高のスイスでは月給で4千スイスフランに相当する最低賃金が必要だと主張。労働者の約9%に当たる約30万人が恩恵を受けるとしていた。(ジュネーブ=原克彦)
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