久喜液状化対策で検討委が工法提案 市の対応に住民から不満も
| 久喜市南栗橋地区の液状化対策について住民の質問に応える検討委員のメンバーら＝１８日午後３時半ごろ、久喜市伊坂の栗橋文化会館ホール |
東日本大震災で地盤の液状化現象が起きた久喜市で、「液状化対策検討結果報告会」が１８日開かれ、液状化対策検討委員会（会長・坂本功東京大学名誉教授）の検討結果が報告され、市が対策事業の方向性を示した。
液状化の被害に遭った南栗橋地区の住民ら約３００人が参加し、委員会の報告や市の対応を検討した。
委員会は液状化の原因究明や再液状化の可能性を調査し、有効な対策の実証実験を行ってきた。まとめられた報告は、南栗橋地区の液状化対策として「地下水位低下工法が最適」と結論付けた。
市は委員会の報告を受け、同工法を用いた対策事業を説明。特定地域の道路から約３メートルの深さに穴の開いたパイプを埋設し、地下水をパイプを通じて排水する。メリットとして「全体の工事費が安い」「宅地内の工事が発生しない」などを挙げた。
市は国の復興交付金事業に盛り込むため、２０１５年度末までの工事着手を見込み、今秋までに土地所有者の３分の２の同意を確認するとしている。万が一、工事による地下水位低下後２年間で、家屋が１０００分の３（１メートル当たり３ミリ）を超えて傾いた場合は補償するという。
説明を受けた住民からは「工事後に家屋が傾いた場合、補償期間が２年は短くないか」などと、工法の有効性や影響、補償について質問が相次いだ。
同市南栗橋７丁目の６０代男性は「液状化の危険性が分かっていたにもかかわらず、市（当時の栗橋町）が整備した土地。今の時点で補償の内容がはっきり決まっていない。市の対応に不満を感じている」と会場を後にした。
報告会後、委員会の坂本会長は「学術的にも答えが難しい問題もある。住民の方から的を突いた質問も頂いた。今の方向で対策を実現してもらうことを期待する」。市の関根武視建設部長は「忌憚（きたん）のない意見を頂いた。今後、説明会を開く中で、住民の理解と合意形成を図っていきたい」と話した。