- [PR]
経済
【うめきた1年(下)】始まりは異端の発想 「みどり」テーマの2期開発 「創造的筋力」鍛える街に
「これは面白い提案や」
「ちょっと、この案は現実的に難しいですね」
ことし3月、大阪市内。建築家、安藤忠雄氏を委員長とする有識者ら6人の審査会が、再開発区域「うめきた2期」の開発案を前に議論した。
うめきた2期区域は、グランフロント大阪の西側に広がる約17万平方メートル。どんなまちにするか-。開発主体の大阪府、大阪市と経済団体でつくる協議会による1次募集では、締め切りの昨年末までに国内外の40の民間事業者から提案があった。
敷地内の緑化を前提に、オフィスや商業施設、ホテル、住宅などを想定したビルを1棟または複数棟建設する案が大勢を占めた。審査会はその中から20件に絞り込んだ。
「みどり」の活用は2期開発の核だ。ただ、このコンセプトに沿って再開発を進めるという構想は当初、異端だった。
反対の声、一斉に
平成13年秋、梅田北ヤード(現うめきた)の開発が、関西経済同友会の常任幹事会のテーマとなった。
「今こそ本格的な都市開発が必要。行政、経済界、有識者らで協議会をつくり、事業者を募って梅田北ヤードの開発計画を考えていくべきだ」
篠崎由紀子・大阪活性化委員会委員長(都市生活研究所社長)が切り出した。
しかし、それには複雑な調整が必要で、民間事業者が賛同するかは不透明だった。「(景気の先行きが不透明な)こんな時期に不動産開発をやる会社があるのか」など一斉に反対の声があがった。「ケチが付くことはほとんどない」常任幹事会としては異例の展開だった。
「ニューヨークなど一流都市のように、効率一辺倒でないまちづくりを」と考える篠崎委員長と構想を進めていた萩尾千里事務局長(当時、現大阪国際会議場相談役)は、とっさに会議の流れを止めた。「議論の価値がある。幹事会にかけます」
半ば強引に決議機関の幹事会に持ち越し、同年11月、うめきた地区を「みどりと水があるオープンスペースの場に」などとする提言の発表にこぎ着けた。
このニュースの写真
関連ニュース
- [PR]
- [PR]