ベトナム反中デモ、報道と言論に「規制」か?・・・少ない情報に「不満の声」=中国ネット


 南シナ海における中国とベトナムの海上取り締まり船衝突事件によって、ベトナム国内では激しい反中デモが繰り広げられている。現地や香港などのメディアからは中華系住民が被害を受けたとの情報が多数流れているものの、大陸のメディアはほぼ「無反応」状態だ。情報を出そうとしない中国政府やメディアに対して、ネット上では不満をぶつける中国人ユーザーも出てきた。  ある中国のネットユーザーは17日、新浪ブログにベトナム反中デモにかんする文章を掲載。そのなかで、台湾、香港、国外メディアがデモに関連した死傷者の情報を流す一方で、中国中央テレビ(CCTV)や人民日報、新華社などが沈黙を続けていると主張した。  さらに、当局がネット上の言論統制を強めている様子がうかがえ、ネットで「越南暴乱」と検索すると「関連法規や政策により、検索結果を表示しない」というメッセージだけが出てくるとした。  また、「日本企業が日本国旗を掲げた輸送車を用意して中華系住民を救出した」、「台湾からチケット免除の避難用飛行機が派遣された」などといった情報が出る一方で、何の情報も出さず支援も行わない中国政府に対して「適切な罵り言葉さえ見つからない」と憤りを示すほかのネットユーザーの声も併せて紹介した。  このユーザーが述べているとおり、新浪微博(ウェイボー、中国版ツイッター)で「越南暴乱」を検索するとエラーが出現した。文章にあるような日本企業や台湾の措置をはじめ、現在出回っている情報がどこまで事実なのかは分からないが、本件にかんして中国大陸から発せられる情報が極めて少ないのは事実と言える。  中国当局による報道の統制、ネット言論の統制は今やちっとも珍しい話ではなく、「今回もまたか」という印象すら覚える。しかし、外部からの情報に敏感になってきた大陸のネットユーザーたちの怒りや不満が徐々に増幅しているような雰囲気も伺える。  当局としては、ある程度国内の不満がたまった適当なところで「ガス抜き」をするつもりなのだろう。ただ、今回のベトナムでのデモはかなり過激なものであり、「政府は何も対応しない」と怒りの声が想定よりも早く臨界点に達するのではないかとの危惧も抱かせる。  間もなく1989年の天安門事件発生25周年を迎える微妙な時期に起きた事件。扱いを誤れば政権の安定を揺るがしかねない事態になるかも知れない。中国政府とメディアが今後どのようにして、怒れる市民を「なだめ」て行くのか、気になるところだ。(編集担当:今関忠馬)(写真は、サーチナ編集部にて新浪微博で「越南暴乱」を検索した画面のキャプチャ)