八百長問題という大相撲の存亡の危機に、日本相撲協会の舵(かじ)を取り続けた、前理事長で元放駒親方の西森輝門さんが突然、逝ってしまった。

 この問題が発覚した2011年2月2日。放駒理事長は真っ先に事務方トップの主事を呼び、計算させた。「現金と換金可能な有価証券残高は、全部でいくらだ。何場所、中止できる?」。1年間中止しても協会は何とか存続できると聞いて、大相撲再生への道筋を、こう描いた。

 八百長の実態調査。調査終了まで、一切の本場所や巡業を中止。八百長に関与した力士を追放。番付を再編成するために本場所を無料開催。全て終えた後に通常開催――。