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【「美味しんぼ」と風評被害】当事者不在の不毛な言い争いに辟易する東京の福島県人たち(鈴木博喜)

2014年05月17日

美味しんぼ

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 週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)に連載中の漫画「美味しんぼ」の描写を巡り、福島県や双葉町、果ては大阪市までが抗議を申し入れる事態にまで発展した「風評被害騒動」。鼻血が放射線被曝に由来するのか否か。そんな不毛な言い争いに、東京都内の福島県人たちは一様に辟易した表情を見せた。漫画家がどう描こうとも、原発事故で放射性物質は拡散した。被曝の危険性が依然として存在することは事実だ。地に足のついた被曝回避、復興を望む声が聞かれた。

【福島では毎日毎日が渦中】
 「『美味しんぼ』の影響ですか?いえいえ、まったくありませんよ。漫画のことも鼻血のことも口にするお客さんはいません」
 東京駅八重洲口近くの「福島県八重洲観光交流館」。田村市に生まれ育ったという50代の女性スタッフは困惑気味に話した。「2年前、初めて東京に出てきた時は、冷たい反応に驚かされたものです。陳列されている果物を指さして『検査しているの?』って聞かれました。心配なら買わなければ良いだけだと思うのですが…。『ここで販売して良いのか』と詰め寄ってくる人もいました。今はもう、そういう人はいないですけどね。認識が深まったのと関心が低くなったのと両方なんでしょうね」。
 今回の騒動は、テレビの報道で知った。「あゝまた騒いでるな、って思った程度ですよ」。
 福島県内で暮らす妹は、わが子に福島県産食材を食べさせまいと県外から野菜などを取り寄せている。漫画の描写が正しいか否かを外野で言い争っている間にも、福島では否応にも原発事故の影響から逃れられない日々が続いているのだ。
 「東京と福島とでは温度差がありますよね。福島で起きてはならないことが起きてしまって、それを東京の人々は離れたところから見ている。でも、福島では毎日毎日渦中にいるんです。妹がそうであるようにね」
 田村市の実家に戻ると、その温度差を口にする人が多いという。
 「政治家でも誰でも、みんな一度、福島で実際に生活をしてから物を言って欲しいですよ」
(東京駅からほど近い、八重洲観光交流館。女性スタッフは「『美味しんぼ』の影響なんてありません」と話した)

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