平成25年8月20日の第12回福島県県民健康管理調査検討委員会で発表された「妊産婦に関する調査」について、気になる点があった。
筆者は調査と取材を続けてきたが、中間報告としてまとめる。
3行まとめ
1.福島県相双地区において、平成23年度と24年度を比較すると、新生児の心臓奇形率の上昇がみられるのではないか。
2.県全体の平均のみで判断するのではなく、地域別、時期別の調査も必要ではないか。
3.小児甲状腺のみを議論するのではなく、「原発事故の影響は無い」と結論づけるのでもなく、様々な健康問題を調査する必要があるのではないか。
********
第11回福島県民健康管理調査検討委員会での発表はこうある。
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/6448.pdf
「平成23年度の集計をみると、県内各地域で若干の差は認めるものの、全国平均と比べ早産率は高くなかった。また、単胎出生児の先天奇形・異常の発生率は全県で2.7%であり、一般的な出生時の先天奇形・異常の発見率3-5パーセントと同様であった。先天奇形・異常の中で最も高かったものは心臓奇形0.86%であったが、これは心臓奇形の自然発生率約1%と変わらなかった。」
この会見で筆者は、いくつか質問をした。
全国平均ではなく、事故以前の福島県の同様のデータとの比較はできないのか問うと、
そのような調査は行っていなかったので、事故以前との比較ができないため全国平均と比較した、とのこと。
「県内各地域で若干の差」というものはどのようなものか具体的に発表していただけるか、には検討するとの回答を頂けた。
チェルノブイリ原発事故後、チェルノブイリ・ハートと呼ばれる新生児の心臓奇形が増加した。
(『チェルノブイリ・被害の全貌』岩波書店刊、ベラルーシ・ベルラド研究所)
福島県の発表では「先天奇形・異常の中で最も高かったものは心臓奇形0.86%であった」とあるが、
原発事故以前の日本でも、先天性心疾患は最も多く見られる先天性の奇形である。
これは日本母性保護産婦人科学会などの調査等において発表されている。