運転手不在:ワゴン車、歩行者の列に…11人重軽傷 福岡
毎日新聞 2014年05月18日 23時19分(最終更新 05月19日 01時51分)
18日午後9時5分ごろ、福岡県田川市伊田の県道で、同県田川郡の露天商男性(77)所有の軽ワゴン車が運転手がいないまま暴走し、地域の祭りに来ていた歩行者を次々とはねた。県警田川署によると11人が負傷し、うち歩行者の田川市の女子中学生(14)と北九州市の男性(59)、露天商の3人が重傷。いずれも命に別条はないという。自動車運転過失傷害の疑いもあるとみて調べる。
田川署によると、露天商が露店を閉める準備のため、助手席に知人女性を乗せた状態で車内に入らないまま車のエンジンをかけたところ、車が突然動き出し、通行規制中だった県道を暴走。露天商は止めようとして車と電柱に挟まれた。車はそのまま次々と歩行者をはね、約50メートル先の交差点を右に曲がったところで歩道に乗り上げて止まった。車はマニュアル車という。
現場はJR日田彦山線・田川伊田駅の北約300メートル。17、18日に近くの彦山川一帯で風治八幡宮「川渡り神幸祭」が開かれ、事故当時は露店などを楽しむ地域住民らでにぎわっていた。川渡り神幸祭は約450年続く祭礼で福岡県無形民俗文化財に指定されている。【内田久光、浅野翔太郎】
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現場に居合わせた警備員(59)は「止まっている車が突然動きだし、キャーという声が耳に入った」。人がはねられるのを見た女性(46)は「ごみ袋が吹っ飛んできたかと思ったら人だった」と震えるように話した。
現場の近くの自営業の女性(48)も「露店が並ぶ川沿いの歩行者天国の道路から、すごい勢いで軽ワゴン車が突っ込み、2人がはねられて飛ばされた」と語る。女性によると、車はその後も惰性で動いていたが、男性数人が車体を手で押さえて止めたという。
風治八幡宮の宇都宮直崇権祢宜(ごんねぎ)(34)は「今年も事故がなくて良かったと話していた矢先にサイレンが聞こえた。現場に駆けつけると軽ワゴンのフロントガラスが割れて大きな事故だった」と驚いた様子で話した。【梅山崇、前谷宏】