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ベトナムで中国人救出の日本企業に絶賛の声

中国企業を襲うベトナムの民衆は、中国の反日暴動を思い起こさせますが、そんな騒動のさなか、デモ隊に囲まれ工場内で身動きが取れなくなった香港の従業員らを、隣の日系企業の工場が車を出し、貨物を運搬すると見せかけて救出したというのです。まるで映画のような救出劇です。
暴徒化のベトナム反中デモ、日系企業が緊迫の救出作戦=中国...:レコードチャイナ

レコードチャイナによると、このことが香港紙・明報で伝えられた直後から中国版ツイッターではなんと6時間ほどで1500件以上の救出した日本企業、また日本人への感謝と絶賛のコメントが寄せられたといいます。
「日本ありがとう!」ベトナム反中デモで香港人救出の日系企業に感謝の声殺到
ベトナム反中、日系企業が中国人救出=ネット「日本は窮地に救いの手、中国は無知な反日、この差は何だ!

もちろんこういった日本を見直そうという声は、まだまだごく一部かもしれませんが、セウォール号の悲惨な事故をきっかけに、韓国メディアが日本の再評価を展開したことと重なって見えてきます。韓国や中国の政府が、反日でナショナリズムを煽り、それによって人びとの政治や経済への不満の矛先を変えることを一貫して行なってきましたが、その流れを変える芽になればと願うばかりです。

さて、南シナ海での石油掘削でベトナムとの緊張の高まり、また埋め立てでフィリピンとの緊張が高まってきたのですが、ベトナムの騒乱によって、ロイターによると、ベトナム人5人、中国人は恐らく16人にのぼる犠牲者がでたというだけでなく、中国のイメージダウンは避けられず、中国への警戒感を高める結果になったと思います。あきらかに中国の政策の失敗です。

中国にとって、アジア各国が成長することで、中国の市場ともなり、また重要な経済パートナーともなってきますが、それも信頼があってこそで、その信頼が大きく傷ついてしまいました。

日本では、おりしも集団的自衛権について議論がなされています。国民的に理解が深まることはいいことです。ただ、どうしても有事に議論が集中しがちですが、安全保障に対するバランス感覚は失わないで欲しいものです。
安全保障は、連立方程式です。軍事だけで決まるのではなく、経済、また外交、さらに文化やスポーツ、旅行など人の交流の広がりなども影響してきます。
とくに今日のようにグローバル化が進んできた時代には、経済、とくに資本の動きの影響がどんどん高まってきています。むしろそちらのほうが戦略的には重要です。

その視点で見ると、日本がアジアのなかでの最も成熟した先進国として、さらに経済の進化、また深化をはかっていくことも、日本のアジアにおける頼りがいのある国としてのポジションの再構築ともなります。集団的自衛権だけでなく、アジアにおける経済圏づくりを進めていくことも国の安全にもつながってきます。TPPもその視点で見ることが必要なのではないでしょうか。国の安全保障を360度の視野で捉えるいいタイミングが来ているのだと思います。

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