南シナ海の領有権問題を巡り中国がベトナムへの圧力を強めている。中国政府は18日、両国の一部の交流計画を停止すると発表。反中デモなどの動向を見て、対抗措置を拡大する可能性にも言及した。中国軍部隊がベトナムとの国境に向けて移動しているとの報道もある。ベトナム当局は18日、反中デモの取り締まりに転じたが、関係修復は不透明な情勢だ。
【北京=阿部哲也】中国外務省の洪磊副報道局長は18日、ベトナムで相次いだ反中デモで中国人が死傷したことを受け「中越の交流・協力の雰囲気と条件が破壊された」と発言、交流計画の一部停止を発表した。
具体的な内容は明らかにしなかったものの、中国人のベトナム渡航自粛措置は即日実施した。「今後の情勢を見ながら、一段の措置を取ることを検討する」とも警告しており、経済分野などに対抗策が及ぶ可能性がある。
中国外務省によると、在ベトナム中国大使館などの支援を受けてベトナムから帰国した中国人は17日までに3000人超に上る。中国政府は負傷者移送にチャーター機を派遣。同機は18日早朝、大きな被害が出た中部ハティン省で負傷した中国人らを乗せて四川省成都に到着した。
中国の交通運輸省は18日、ベトナムに船舶5隻を派遣する方針を明らかにした。現地に進出している中国企業の従業員や家族の帰国を支援する。既に1隻が中国南部の海南省から現地へ出発した。経済関係が冷え込めば、ベトナム経済への影響は大きい。
ベトナム、中国、中国政府、ベトナム当局