Financial Times

中南米の放蕩息子ベネズエラ「石油収入中毒」で経済はもう破綻寸前

2014.05.19(月)  Financial Times

(2014年5月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

多くの外部者にとって、そして多くの内部関係者にとっても、ベネズエラは腹立たしくなるほど理解し難い国だ。社会主義の理想郷だと感じる人もいれば、独裁国家だと考える人もいる。どちらも、世界最大の石油埋蔵量を誇る国がなぜトイレットペーパー不足に苦しむのか、完全かつ有効には説明していない。そこで、以下に別の視点を提供する。

 イデオロギーをはぎ取れば、ベネズエラは信託財産で生活する手に負えない放蕩息子だ。未熟で混乱し、持っているよりも多くのカネを使い、石油収入の中毒になり、中毒にかかっているという現実も認めない。馬鹿げているだろうか? 自分の個人口座に3兆ドル相当の石油埋蔵量があったら、我々だって同じようになるかもしれない。

 多くの機能不全の「トラスタファリアン*1」と同様、ベネズエラは現実と向き合えない性に苦しんでいる。昔からずっとそうだった。1970年代の石油ショックの時期には一時、驚異的に膨らんだ石油収入によって、甚だしい消費主義と「大ベネズエラ」というファラオのような夢が作り出された。

ウゴ・チャベス前大統領の遺産

チャベス大統領、「病変組織」の摘出で再手術 ベネズエラ

2013年に死去したウゴ・チャベス前大統領は「21世紀の社会主義」という信条を作り出した〔AFPBB News

 故ウゴ・チャベス氏の汎米「ボリバル革命」の構想は、最後の楽観的妄想にすぎない(ボリバル革命は、チャベス氏の19世紀の英雄シモン・ボリバルにちなんで名付けられたビジョンで、チャベス氏はシモン・ボリバルの亡霊が座れるように閣議で空の椅子を1つ用意していたと伝えられている)。

 だが、ベネズエラも、薬物でハイになったあらゆる放蕩息子のように、時々酔いが醒めることがある。信託財産の受託者――例えば国際通貨基金(IMF)――が、いい加減に勘定を整理し、スポーツカーを売り払い、現実に目を向ける時だと主張する時は特にそうだ。

 こうした時期は、悪習を絶とうとする時に厳しい12段階のプログラム(専門用語では「構造調整計画」)で徹底した内省を求められるどの中毒患者にとっても、苦しい時期だ。ベネズエラは、1989年と1996年に2度、構造調整を経験した。

 だが、そうした厳しい現実は、中毒患者にまた薬物に手を出させ、別のどんちゃん騒ぎへと駆り立てることがある。翌日には大抵、苦痛や絶望感、地位の喪失がもたらされるからだ。これは宗教的な悟りのための理想的条件だ。

 ベネズエラにとって、信仰を新たにするそうした時期は、1998年にチャベス氏が大統領に選出された後に訪れた。その時チャベス氏は、時代錯誤のイデオロギーと地域的連帯、社会計画が混ざり合った独特の「21世紀の社会主義」という信条を作り出した。

*1=「trustafarian」は「trust fund(信託財産)」と「Rastafarian(ラスタファリ主義者)」が合わさった造語。多額の遺産があるために、ヒッピーや無政府主義、パンクロックといったカウンターカルチャーや快楽主義に傾倒する若者を指す

 それによって、ベネズエラはまた薬物でハイになった状…
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