中国

「宗教指導者」を演じ続ける中国の指導者社会主義という教義を捨てられる日は来るのか

2014.05.19(月)  柯 隆

4月に来日した米国オバマ大統領は、安倍晋三首相との首脳会談後の記者会見で、尖閣諸島の有事は日米安保の対象であると明言した。日本にとってこれは今回のオバマ大統領訪日における一番のプレゼントだったと言える。

 ところがその後、韓国を訪問したオバマ大統領は朴大統領との記者会見で、戦時中の日本の従軍慰安婦問題について「実に甚だしい人権侵害と考えなければならない。戦時中の出来事とはいえ衝撃を受けた」などと述べた。

 日本人は、同大統領の尖閣諸島問題に関する発言に胸をなでおろしたはずだ。しかし、その後耳にしたのは、従軍違反婦問題に関して韓国に寄り添う発言だった。日本人の多くはオバマ大統領は親日派なのか嫌日派なのか混乱し、戸惑いを感じたことだろう。

 ここでオバマ大統領について理解しておかなければならないことがある。それは、彼は正義に基づいて行動しているのではなく、「ビジネスマン」なのだということだ。彼の仕事は自国の利益を最大化することなのである。

 一方、中国などの社会主義国の指導者はビジネスマンではない。中国の歴代国家主席と首相は外国を訪問した際、たとえ笑顔を見せても、ほとんどはぎこちないものばかりである。オバマ大統領が銀座のすし店を訪れて安倍首相と握手したときのような笑顔を社会主義国の指導者が見せることはない。

 なぜならば、社会主義は宗教だからである。社会主義国、中国の指導者はビジネスマンのような笑顔を見せるのではなく、宗教指導者のような存在感を演出しなければならない。

 宗教指導者は簡単には笑わない。いつも神聖な表情を見せようとする。笑うことは不謹慎とさえ見なされることが多い。無論、社会主義の指導者といえども喜怒哀楽を覚える普通の人間である。しかし、その笑いは作られたものである。

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