お迎えの途中で止まった赤信号。
交差点。
深夜だから、私たち以外には
止まる車が一台も
ない。
照らされる彼の横顔
…
…こういう時に、映画や小説では
キス、してくれるのにな…
キス…して、欲しいな。
なんて
思っても、キスなんてしてくれない。
だって、そんなトコでキスするのは
はしたないし、
恥ずかしいことだから、止めて。
って、言ったのは私だから。
そんな風に教えたのは、
以前の私だから。
ごめんね。
ごめん。
私、主人の気持ちを無碍にしてた。
以前読んだ
彼の日記に、書いてあった。
ゆうあにキスしたくて
たまらない。
したいなぁ。
って。
私は、恥ずかしいからと
ずっとずっと
彼のこころを
考えてなかったんだ。
したい、ってきもち
大切に出来なかった。
だからと言って
不倫をしていいなんて言う
理由には、何もならない
けれど。
…ごめんなさい。
そう思ったら涙が後から後から
溢れてきて
止まらなくて
主人:どうしたの?
突然…
そんなコト言っても止まらない。
考えを上手く口に出せない。
涙ばかりが先行して
ゆうあ:○○さんのこと考えてたら
涙が出できて
止まらない。
ってしか言えなかった
もう
頭が混乱して
主人のことが頭の中でぐるぐる
ぐるぐる巡ってしまって。
上手く言葉では
言い表せなくて
そう、言っている間に
家のガレージに着いてしまいました。
もう、家に戻らないと。
でも…
ゆうあ:…ごめんなさい。泣いてしまって。
ゆうあ:…キス、して。
…私が、今キスしたいんだ。
本当は、キスしたいって以前言った
主人に答えるため。
否
したいのは
私だから
言うんだ。
はしたない?
相手のこと考えてない?
自分がしたくて、相手のこと考えてない?
だって
妻だから。
こそこそしなきゃいけない
不倫相手じゃないから
言うよ。
したい、って。
不器用な私だから
はっきりしか言えない。
してくれるように…なんて
しなくても
いいんだ。
だって
妻だから。
ゆうあ:…キス、して。
主人:ええと…。誰かにでも
見られたら…
うん。知ってる。そう言ってたのは
私だから。庭の車の中でキスなんて
恥ずかしくて出来なかったのは
私だから。
ゆうあ:大丈夫だよ。夜遅いし
だれも
見てないから。
主人:…
周囲を、2、3度見渡して…
軽く
触れるだけのキス…
いつの日か
上手く主人に伝えられる日が来るかな。
来るといいな。
説明が苦手な私だけど。
優しい
優しい
キス。
ありがとう。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚