※冒頭の画像は関係ありません。
美味しんぼの話。震災が起きてからすでに3年が経過し、 様々な議論を終えていかに復興していくか検討し、 新たな都市の土台を作り始める頃合い。
にも関わらず、わざわざ震災直後のようなデマを振りまいて、実在の人物を登場させて炎上。
美味しんぼ自体は短期連載を繰り返してる状態なので、今シーズンというか現在の章が終わったら休載するのは既定路線。つまり、ほとぼりが冷めるまで待つことができる。
一方、小学館側はお詫びとも開き直りともつくようなスタンスの文章をアップ。更に、原発に関するデマを振り撒く人を多数配置して「賛否両論ありましたね」というスタンス。
美味しんぼの件に関しては、「これはフィクションですから」というスタンスであれば『フィクション作品に実在の人物を登場させるのはどうなのか』という話題で盛り上がったと思う。ただ、今回は『これが真実です』というスタンスだったので、どうしても報道の信憑性とかその辺の問題になる。
数年前にあるある大事典が嘘の内容を放送したことによって大問題になり、番組が打ち切りになったわけだけど。アレだって「これはフィクションだから番組内容は嘘も含まれますよ」と言ってれば言い逃れ出来ていたかもしれない。本当っぽいことを見せておいてだますという戦略においては美味しんぼと大して変わらないだろう。
小学館側としては「議論が深まってよかったですね」などというスタンスなんだけど。震災から3年経って、いろいろと議論が終わったというのに、わざわざ昔のデマをさらに蒸し返すことによってどういう意味があるのか。
車輪の再発明をするならば、せめて「昔はデマも真実もごちゃ混ぜだったけど、現在ではこういう見解がスタンダードかつ立証されてる」という表現ならばいいんだけど。昔のデマをひっぱり出してきても、議論が停滞するだけだし。
で。個人的に不快だなーと思うのは、この件に関して小学館側がノーダメージという部分。
今回の件に関しては小学館側は特集記事を出しただけ。地方自治体は抗議してるけど、あくまでも抗議レベルで訴訟されてるわけじゃない。それどころか、ニュースになったおかげでいろんな人が雑誌を購入してくれた。
個人や企業相手にデマを言うと訴訟されるけれども、地方の場合は自治体VS出版社という構造で裁判しづらいため、どうしても自治体側が不利となる。
言い換えると、『地方をターゲットにしてデマを振り撒いても訴訟されることもないし売り上げが増えるだけ』という状態。実に腹立たしい。
人間社会において、暴力を振るわない理由としてはデメリットがあるから。普通に殴れば殴り返される可能性もある。殴り返されなくても警察に捕まって社会的に裁かれる。これは物理攻撃でなかったとしても同様。
今まで倫理的に問題だからと自重していた可能性もあるが、これから先「どうせ訴訟されないんだからデマ言いまくっちゃえ」みたいな状況になると、「じゃあ表現の自由って邪魔だね。自由をなくしたほうが良いね」みたいな状況になるので、漫画読む側にも描く側にも困る。
つまり、今回の件に関して個人的に言いたいのは、デマを振り撒いてもノーダメージの場合、如何にしてそれを防ぐべきかという方法が全くなくやりたい放題という状況が不快、ということ。ゲンナリする。
他の出版社側は動かないかもしれませんが、現状だと『デマ振り撒き放題だから危険』ってレッテル貼られそうなんですが。どうなるんでしょうかね。