受託開発の会社が自社製品で集客できるようになるまでにやったこと(失敗含む・・・)

ヴェルクは、基本的に受託開発をメインとしている会社ですが、毎年、受託の合間に、iPhoneアプリや自社開発を行ったりしています。iPhoneアプリは、どちらかというとノウハウを溜める目的でいくつも出していましたが、昨年、初めて本気で事業化しようとしたスマホアプリCMS「Patto」という自社製品を開発しました。

小さい無名なベンチャーですので、当然、自社製品を作って勝手に認知されるなんてことはあり得ず、色々とプロモーションをしていく必要があります。しかも小さい会社ですので予算も限られています。そんな中で、色々と試行錯誤しながらやったことをまとめてみました。

少ない予算でB2B商品をプロモーションするケースなどは参考になるのではないかと思います。



ちなみに、以前書いた「起業して3年でやってきたこと」を先に読んで頂けると、今回の話の背景がわかるので、お時間がある方はぜひ。

余談ですが、これを開発と並行しながらやっていたので、だいぶしんどかったです・・・。


まずは前提というか背景

僕自身含め、基本的に受託開発をずっとやってきたメンバーで、自社開発の経験はありませんでした。そのため、プロモーションとか集客とか、そういうことに縁がなく、致命的に経験・知識が足りていませんでした。


起業して1・2年目に、iPhoneアプリをいくつか出しているので、そのプロモーションをやったことある程度。ネットで調べたり勉強会に参加したりして、みんながどうやってアプリのプロモーションをやっているのかを聞いて、それをやってみていました。

ただ、「見聞きしたことをやってみる」レベルで、本質的には全く理解しておらず、いわゆるHowToをそのままやってみました、という感じでした。

それでうまくいくのであればみんな苦労しないわけで、当然、本気で事業化しようとする場合、もう一歩も二歩も踏み込む必要がありました。


Pattoという製品について

iPhone・Androidアプリを簡単に作って運用することができるスマホアプリCMSです。イメージとしては、スーツのセミオーダーみたいなイメージで、完全パッケージ化されたものではなく、ある程度カスタマイズや自由度を残しつつ、よく使う機能を汎用化したものです。

いわゆるウェブサービスのようにユーザ自身が会員登録して完結するのではなく、使い方の提案も必要になるソリューションっぽい形です。

B2Bですし、通常であれば営業さんが営業していくようなものになると思いますが、うちは営業もいないので、プッシュ型の営業なしで案件を獲得していく必要がありました。


本気でプロモーションをやるという決意

僕自身も基本的にエンジニアなので、プロモーションとかSEOとか、全く知識がなかったですし、そもそも本業じゃないと思っているわけです。そのため、まず本気になれない。これが致命的な問題。

例えばプログラミングにおいて、逆引き辞典的なものを使ってても、まともに書けるようになるわけがないことはわかっているわけですが、本業じゃないプロモーションになると、なぜか見聞きしたことを真似てやってみるだけになってしまいます。

自社サービスをやっている人たちを見ていると、必死に自分たちのサービスをアピールしています。認知度を上げようと様々なことをやっています。受託開発をやっていると、どうしてもそこまでできない。

そこで、Pattoという自社製品を開発する上で、プロモーションを本気で勉強して実践してPDCAを回していくという覚悟を決める必要がありました。

頑張っていいものを作っても、認知してもらわないと売れないわけです。そのため、とにかくプロモーションを第一に考える。片手間で開発するくらいの意識。自分自身の意識改革からスタートしました。


「広告をガンガン出す」はやらない

溢れんばかりのキャッシュがあればいいですが、自己資本のスタートアップベンチャーにそんなお金はありません。ですので、一時的に広告を出しても継続できません。瞬発力ではなく継続的な集客の仕組みを作る必要があると思っていたので、基本的に広告には頼らないことにします。


まずは基本的なことをお勉強

やはり基本的なことは知っておく必要があるので、本を読みまくって勉強しました。たくさん読んだ中で印象に残っているのは以下の3つ。
MEDIA MAKERS
メディア化する企業はなぜ強いのか?
トリプルメディアマーケティング


弊社は5人の会社で営業はいないので、基本的にインバウンドで問い合わせを取れるようにする、というのをゴールにしました。


その道のプロにアドバイスを貰う

Pattoの開発を始めたころから半年間ほど、ウェブマーケティングを生業にしている知り合いに頼んで、アドバイスをもらうようにしました。

ちなみに、ウェブマーケティングの人からアドバイスをもらうというと、SEOや広告などそういう手法的なことにいきがちですが、目的はもっと本質的なことを考えられるようになること。

そのため、直接Pattoのプロモーションについて話すというよりは、様々な製品・サービスのサイトを見ながら製品コンセプト・ターゲティング・プロモーションの仕方を分析していました。最初の2ヶ月ほどは毎週会って2〜3時間ディスカッションしていました。こうした中で、僕の中で理解度が上がっていき、自分自身で考えられるようになっていきます。

そういうベースを作った上で、Pattoの商品コンセプトを整理してターゲットを明確にし、ポジショニングや情報の出し方などを詰めていき、プロモーション戦略を練っていきました。

SEOや広告などのいわゆる直接的な手法の前に、マーケティングについてかなりの時間をかけてディスカッションをしたことが、この後、自分自身でPDCAを回していくための非常に重要な基礎になりました。

ここでのポイントは、やることを教えてもらってそれを単に実践するのではなく、自分自身で理解して考えられるようになること。それが継続できるかのキーなので。


開発前から外部の人にどんどん話す

アイデアの段階から、かなり色々な人に構想を話していました。今までの僕の意識だと、新サービスのアイデアはなるべく隠しておくべきと思っていたのですが、世の中に全く存在しないようなアイデアなんてそうそうないですし、どんどんオープンにして、フィードバックをもらった方がプラスになると思い、お客さんなどにもどんどんアイデアを話していました。

そういう中で、アイデア自体に意見をもらったり、「こういう分野の会社にニーズがあると思う」「社内のこういうポジションの人にアプローチした方がいいと思う」などプロモーションにおけるアドバイスも多数もらいました。

よく考えたら、お客さんの方が、プロモーションについて知ってたりするんですよね。


また、そうやって話すこと自体がプロモーションになっていて、後々、お客さんを紹介して頂いたりしました。


インバウンドマーケティングの土台となる製品サイト

製品サイトは、単なる製品の説明だけでなく、インバウンドマーケティングの土台になるべく、コンテンツを充実させました。

オウンドメディア的な概念を取り入れ、製品サイト内のブログでは、製品の紹介は一切せず、「スマホアプリをビジネスで活用する」という視点で記事をたくさん書いていきました。このブログのゴールは「スマホアプリを作りたいと思ったユーザ企業の担当者が検索したら行き着く場所」。

ポイントは宣伝にならないこと。製品サイト内にあるブログなので完全に第三者ということはないですが、記事内では、アプリが向かないケースなども書き、コンテンツとしての客観性を重視しました。

最初の数ヶ月は週2本ペースで記事を書いて、土台作りをしていきました。
ちなみにこの頃、コード書くより日本語書いている時間のほうが多く、だいぶ心が折れそうでした・・・。


プレスリリースに全力を尽くす

まずケチらず有料プレスリリースを使いました。逆の立場で考えたら、無料プレスリリースなんて読まないだろうなと。

何名か編集者側の立場の人にお会いして、どういう視点でプレスリリースを見るか教えてもらいました。

プレスリリースは毎日たくさんありますので、どれだけ頑張って書いても、取り上げてもらえるかはわかりません。ただ、その確率を少しでも上げるため、件名の書き方、文章の書き方などを勉強して、全力を尽くしました。

これ自体がどこまで効果があったかは不明ですが、いくつかのニュースサイトで、プレスリリースの転載ではなくrewriteした記事を書いて頂けました。また、見よう見真似レベルから一歩踏み込むことができ、いい勉強になりました。


事例となるアプリを予め用意

Pattoの開発を始めた頃から、アプリになりそうなコンテンツを持っている知り合いに頼んで、事例となるアプリを出させてもらうようにお願いしました。もちろん無料で。

やはり事例があるとイメージしやすいですので、これはかなりプラスだったと思います。


継続的なプレスリリース

製品リリース時だけではなく、継続的にプレスリリースを出すようにしました。ただ、「Pattoを使ってアプリをリリースしました」というリリースでは取り上げてもらえる可能性は低いですし、アプリの方が中心になってしまい、Patto自体のPRに繋がりにくいため、リリースの出し方を工夫しました。

具体的には「新機能+アプリのリリース」という形でリリースを出します。例えば、「お台場ガイドマップ」というアプリを出した際は、Pattoの「地図機能」を追加したタイミングで、その事例第一号として「お台場ガイドマップ」をセットで出しました。

うちはPRTimesという有料プレスリリースを使っていますが、1回3万円なので、1アポ取れればOK、というスタンスで考えています。


サイトの継続的な改善

週1回、Google Analyticsをじっくり時間かけて見るようにしていました。最初の頃は、どの指標を見てどういう改善をすべきなのか、さっぱりわかりませんでしたが、ずっと眺めていると、だんだんと、サイト上でのユーザの動きが見えてきます。

とはいえ、あまりここばかりに時間をかけられないので、回遊して欲しいところで回遊せずに離脱しているところのみにポイントを絞って改善していきました。


Facebookページ

Pattoという製品のFacebookページをやったところで、これを見たい人はかなり限られており、あまり意味がないかなと思い、「スマホアプリマーケラボ」というスマホ関連のニュースや記事を中心に流しつつ、これをきっかけに「Patto」を知ってくれる人がいればいいかな、という位置づけです。

そのため、ここから集客できた、ということはあまりないですが、お客さまから、こういう活動を評価して頂いてお問い合わせをもらったことがいくつかありました。

ただ、やはり更新し続けるのはかなり大変で、最近サボリ気味です・・・。


Twitter

これもFacebookページ同様に、スマホ関連情報を流すアカウントを運用してみましたが、全くうまくいかず。逆の立場から考えても、スマホ関連情報はニュースやRSSで入手できるわけですから、わざわざ、こういうアカウントをフォローする意味はないですよね。


メールでアプローチ

2日で諦めましたw
Pattoを活用できそうな会社さんを探して直接メールしてみたのですが、1つも返信来ず。まあ、そうですよね。自分だって、ほとんどスルーですから。


テレアポ

無理です。できませんでした。


代理店

最初は漠然と「代理店募集」とサイト上に掲載していたのですが、意外とそれに関するお問い合わせが多く、特に首都圏以外から多くありました。首都圏以外は自分たちだけでカバーするのは厳しいので、そういうネットワークを築けると効率的かと思い、何社かと代理店契約を結び展開しています。

「スマホアプリ」というものに対する感度が首都圏と地方では異なるものの、今までカバーできなかった範囲をカバーできるようになっているため、効果的な取り組みではないかと思います。

ただ、Pattoは、完成品の商品ではなく、どちらかと言うとソリューション型に近いため、クロージングする難しさはありますが。


1年後の状態は・・・

Pattoは2013年2月にリリースしたので、1年ちょっとが経ったところです。

一番効果的だったのは、製品サイト上で、製品以外のコンテンツ(ブログ)をたくさん用意したことでした。いわゆるコンテンツマーケティングですね。これによる集客効果(SEO効果)が非常に大きかったです。(ちなみに、特にSEO対策のテクニック的なことはやっていません)

やはりエンジニアにとって、技術以外のブログを毎週書き続けるというのはきついです。ただ、これをなんとか続けられたのが大きかったのかなと思います。

ここ半年ほどは、最初の頃ほど頻繁にブログは書いていませんし、プレスリリースも全然出していませんが、サイト自体のPVは多少落ちた程度で、毎月数千人の新規ユーザがサイトにアクセスして頂いている状態で、毎月それなりに問い合わせがあります。

誰もが知っている大ヒット製品というわけではありませんが、当初の目的である「継続的にインバウンドで問い合わせを獲得する」ための土台ができ、それが実現できているので、昨年1年間でやったことは、まずまずの成果だったのかなと思います。


今後の課題

まずまずの成果とは言え、この製品の知名度は全然なく、おそらくこのブログを読んで頂いている方もほぼ全員知らないかと思います。

年間100本以上導入しようとすれば、また違う方法が必要かと思います。

この後のプロモーション戦略は、今後、Pattoをどういう製品に育てていきたいのか、というところから考えていく必要がありそうです。


ただ、とりあえず言えることは、「1年間本気で続ければだいぶ違う」ということ。
1年半前の自分がそうでしたが、プロモーションを軽視せず、一度腰を据えてやってみると面白いと思います。

せっかく頑張って作ったものは、少しでも売れた方がいいわけですし。



最後にちょっと宣伝になっちゃいますが、今、boardという新サービスのベータ版を公開しています。これは、受託ビジネスに特化したバックオフィス業務・経営管理システムで、自分たちが受託ビジネスをやっている中で、バックオフィス業務を軽減・効率化するために作り始めました。

これはPattoと違い、ウェブサービスで、ターゲットはどちらかと言うと、IT寄りなベンチャー、しかも経営者や総務系の責任者で、Pattoとはターゲットが全く異なります。

そのため、プロモーションの仕方も全く異なるわけで、昨年のプチ成功体験は捨てて、また新たに試行錯誤中です。

受託開発の会社が自社製品で集客できるようになるまでにやったこと(失敗含む・・・)

ヴェルクは、基本的に受託開発をメインとしている会社ですが、毎年、受託の合間に、iPhoneアプリや自社開発を行ったりしています。iPhoneアプリは、どちらかというとノウハウを溜める目的でいくつも出していましたが、昨年、初めて本気で事業化しようとしたスマホアプリCMS「Patto」という自社製品を開発しました。

小さい無名なベンチャーですので、当然、自社製品を作って勝手に認知されるなんてことはあり得ず、色々とプロモーションをしていく必要があります。しかも小さい会社ですので予算も限られています。そんな中で、色々と試行錯誤しながらやったことをまとめてみました。

少ない予算でB2B商品をプロモーションするケースなどは参考になるのではないかと思います。



ちなみに、以前書いた「起業して3年でやってきたこと」を先に読んで頂けると、今回の話の背景がわかるので、お時間がある方はぜひ。

余談ですが、これを開発と並行しながらやっていたので、だいぶしんどかったです・・・。


まずは前提というか背景

僕自身含め、基本的に受託開発をずっとやってきたメンバーで、自社開発の経験はありませんでした。そのため、プロモーションとか集客とか、そういうことに縁がなく、致命的に経験・知識が足りていませんでした。


起業して1・2年目に、iPhoneアプリをいくつか出しているので、そのプロモーションをやったことある程度。ネットで調べたり勉強会に参加したりして、みんながどうやってアプリのプロモーションをやっているのかを聞いて、それをやってみていました。

ただ、「見聞きしたことをやってみる」レベルで、本質的には全く理解しておらず、いわゆるHowToをそのままやってみました、という感じでした。

それでうまくいくのであればみんな苦労しないわけで、当然、本気で事業化しようとする場合、もう一歩も二歩も踏み込む必要がありました。


Pattoという製品について

iPhone・Androidアプリを簡単に作って運用することができるスマホアプリCMSです。イメージとしては、スーツのセミオーダーみたいなイメージで、完全パッケージ化されたものではなく、ある程度カスタマイズや自由度を残しつつ、よく使う機能を汎用化したものです。

いわゆるウェブサービスのようにユーザ自身が会員登録して完結するのではなく、使い方の提案も必要になるソリューションっぽい形です。

B2Bですし、通常であれば営業さんが営業していくようなものになると思いますが、うちは営業もいないので、プッシュ型の営業なしで案件を獲得していく必要がありました。


本気でプロモーションをやるという決意

僕自身も基本的にエンジニアなので、プロモーションとかSEOとか、全く知識がなかったですし、そもそも本業じゃないと思っているわけです。そのため、まず本気になれない。これが致命的な問題。

例えばプログラミングにおいて、逆引き辞典的なものを使ってても、まともに書けるようになるわけがないことはわかっているわけですが、本業じゃないプロモーションになると、なぜか見聞きしたことを真似てやってみるだけになってしまいます。

自社サービスをやっている人たちを見ていると、必死に自分たちのサービスをアピールしています。認知度を上げようと様々なことをやっています。受託開発をやっていると、どうしてもそこまでできない。

そこで、Pattoという自社製品を開発する上で、プロモーションを本気で勉強して実践してPDCAを回していくという覚悟を決める必要がありました。

頑張っていいものを作っても、認知してもらわないと売れないわけです。そのため、とにかくプロモーションを第一に考える。片手間で開発するくらいの意識。自分自身の意識改革からスタートしました。


「広告をガンガン出す」はやらない

溢れんばかりのキャッシュがあればいいですが、自己資本のスタートアップベンチャーにそんなお金はありません。ですので、一時的に広告を出しても継続できません。瞬発力ではなく継続的な集客の仕組みを作る必要があると思っていたので、基本的に広告には頼らないことにします。


まずは基本的なことをお勉強

やはり基本的なことは知っておく必要があるので、本を読みまくって勉強しました。たくさん読んだ中で印象に残っているのは以下の3つ。
MEDIA MAKERS
メディア化する企業はなぜ強いのか?
トリプルメディアマーケティング


弊社は5人の会社で営業はいないので、基本的にインバウンドで問い合わせを取れるようにする、というのをゴールにしました。


その道のプロにアドバイスを貰う

Pattoの開発を始めたころから半年間ほど、ウェブマーケティングを生業にしている知り合いに頼んで、アドバイスをもらうようにしました。

ちなみに、ウェブマーケティングの人からアドバイスをもらうというと、SEOや広告などそういう手法的なことにいきがちですが、目的はもっと本質的なことを考えられるようになること。

そのため、直接Pattoのプロモーションについて話すというよりは、様々な製品・サービスのサイトを見ながら製品コンセプト・ターゲティング・プロモーションの仕方を分析していました。最初の2ヶ月ほどは毎週会って2〜3時間ディスカッションしていました。こうした中で、僕の中で理解度が上がっていき、自分自身で考えられるようになっていきます。

そういうベースを作った上で、Pattoの商品コンセプトを整理してターゲットを明確にし、ポジショニングや情報の出し方などを詰めていき、プロモーション戦略を練っていきました。

SEOや広告などのいわゆる直接的な手法の前に、マーケティングについてかなりの時間をかけてディスカッションをしたことが、この後、自分自身でPDCAを回していくための非常に重要な基礎になりました。

ここでのポイントは、やることを教えてもらってそれを単に実践するのではなく、自分自身で理解して考えられるようになること。それが継続できるかのキーなので。


開発前から外部の人にどんどん話す

アイデアの段階から、かなり色々な人に構想を話していました。今までの僕の意識だと、新サービスのアイデアはなるべく隠しておくべきと思っていたのですが、世の中に全く存在しないようなアイデアなんてそうそうないですし、どんどんオープンにして、フィードバックをもらった方がプラスになると思い、お客さんなどにもどんどんアイデアを話していました。

そういう中で、アイデア自体に意見をもらったり、「こういう分野の会社にニーズがあると思う」「社内のこういうポジションの人にアプローチした方がいいと思う」などプロモーションにおけるアドバイスも多数もらいました。

よく考えたら、お客さんの方が、プロモーションについて知ってたりするんですよね。


また、そうやって話すこと自体がプロモーションになっていて、後々、お客さんを紹介して頂いたりしました。


インバウンドマーケティングの土台となる製品サイト

製品サイトは、単なる製品の説明だけでなく、インバウンドマーケティングの土台になるべく、コンテンツを充実させました。

オウンドメディア的な概念を取り入れ、製品サイト内のブログでは、製品の紹介は一切せず、「スマホアプリをビジネスで活用する」という視点で記事をたくさん書いていきました。このブログのゴールは「スマホアプリを作りたいと思ったユーザ企業の担当者が検索したら行き着く場所」。

ポイントは宣伝にならないこと。製品サイト内にあるブログなので完全に第三者ということはないですが、記事内では、アプリが向かないケースなども書き、コンテンツとしての客観性を重視しました。

最初の数ヶ月は週2本ペースで記事を書いて、土台作りをしていきました。
ちなみにこの頃、コード書くより日本語書いている時間のほうが多く、だいぶ心が折れそうでした・・・。


プレスリリースに全力を尽くす

まずケチらず有料プレスリリースを使いました。逆の立場で考えたら、無料プレスリリースなんて読まないだろうなと。

何名か編集者側の立場の人にお会いして、どういう視点でプレスリリースを見るか教えてもらいました。

プレスリリースは毎日たくさんありますので、どれだけ頑張って書いても、取り上げてもらえるかはわかりません。ただ、その確率を少しでも上げるため、件名の書き方、文章の書き方などを勉強して、全力を尽くしました。

これ自体がどこまで効果があったかは不明ですが、いくつかのニュースサイトで、プレスリリースの転載ではなくrewriteした記事を書いて頂けました。また、見よう見真似レベルから一歩踏み込むことができ、いい勉強になりました。


事例となるアプリを予め用意

Pattoの開発を始めた頃から、アプリになりそうなコンテンツを持っている知り合いに頼んで、事例となるアプリを出させてもらうようにお願いしました。もちろん無料で。

やはり事例があるとイメージしやすいですので、これはかなりプラスだったと思います。


継続的なプレスリリース

製品リリース時だけではなく、継続的にプレスリリースを出すようにしました。ただ、「Pattoを使ってアプリをリリースしました」というリリースでは取り上げてもらえる可能性は低いですし、アプリの方が中心になってしまい、Patto自体のPRに繋がりにくいため、リリースの出し方を工夫しました。

具体的には「新機能+アプリのリリース」という形でリリースを出します。例えば、「お台場ガイドマップ」というアプリを出した際は、Pattoの「地図機能」を追加したタイミングで、その事例第一号として「お台場ガイドマップ」をセットで出しました。

うちはPRTimesという有料プレスリリースを使っていますが、1回3万円なので、1アポ取れればOK、というスタンスで考えています。


サイトの継続的な改善

週1回、Google Analyticsをじっくり時間かけて見るようにしていました。最初の頃は、どの指標を見てどういう改善をすべきなのか、さっぱりわかりませんでしたが、ずっと眺めていると、だんだんと、サイト上でのユーザの動きが見えてきます。

とはいえ、あまりここばかりに時間をかけられないので、回遊して欲しいところで回遊せずに離脱しているところのみにポイントを絞って改善していきました。


Facebookページ

Pattoという製品のFacebookページをやったところで、これを見たい人はかなり限られており、あまり意味がないかなと思い、「スマホアプリマーケラボ」というスマホ関連のニュースや記事を中心に流しつつ、これをきっかけに「Patto」を知ってくれる人がいればいいかな、という位置づけです。

そのため、ここから集客できた、ということはあまりないですが、お客さまから、こういう活動を評価して頂いてお問い合わせをもらったことがいくつかありました。

ただ、やはり更新し続けるのはかなり大変で、最近サボリ気味です・・・。


Twitter

これもFacebookページ同様に、スマホ関連情報を流すアカウントを運用してみましたが、全くうまくいかず。逆の立場から考えても、スマホ関連情報はニュースやRSSで入手できるわけですから、わざわざ、こういうアカウントをフォローする意味はないですよね。


メールでアプローチ

2日で諦めましたw
Pattoを活用できそうな会社さんを探して直接メールしてみたのですが、1つも返信来ず。まあ、そうですよね。自分だって、ほとんどスルーですから。


テレアポ

無理です。できませんでした。


代理店

最初は漠然と「代理店募集」とサイト上に掲載していたのですが、意外とそれに関するお問い合わせが多く、特に首都圏以外から多くありました。首都圏以外は自分たちだけでカバーするのは厳しいので、そういうネットワークを築けると効率的かと思い、何社かと代理店契約を結び展開しています。

「スマホアプリ」というものに対する感度が首都圏と地方では異なるものの、今までカバーできなかった範囲をカバーできるようになっているため、効果的な取り組みではないかと思います。

ただ、Pattoは、完成品の商品ではなく、どちらかと言うとソリューション型に近いため、クロージングする難しさはありますが。


1年後の状態は・・・

Pattoは2013年2月にリリースしたので、1年ちょっとが経ったところです。

一番効果的だったのは、製品サイト上で、製品以外のコンテンツ(ブログ)をたくさん用意したことでした。いわゆるコンテンツマーケティングですね。これによる集客効果(SEO効果)が非常に大きかったです。(ちなみに、特にSEO対策のテクニック的なことはやっていません)

やはりエンジニアにとって、技術以外のブログを毎週書き続けるというのはきついです。ただ、これをなんとか続けられたのが大きかったのかなと思います。

ここ半年ほどは、最初の頃ほど頻繁にブログは書いていませんし、プレスリリースも全然出していませんが、サイト自体のPVは多少落ちた程度で、毎月数千人の新規ユーザがサイトにアクセスして頂いている状態で、毎月それなりに問い合わせがあります。

誰もが知っている大ヒット製品というわけではありませんが、当初の目的である「継続的にインバウンドで問い合わせを獲得する」ための土台ができ、それが実現できているので、昨年1年間でやったことは、まずまずの成果だったのかなと思います。


今後の課題

まずまずの成果とは言え、この製品の知名度は全然なく、おそらくこのブログを読んで頂いている方もほぼ全員知らないかと思います。

年間100本以上導入しようとすれば、また違う方法が必要かと思います。

この後のプロモーション戦略は、今後、Pattoをどういう製品に育てていきたいのか、というところから考えていく必要がありそうです。


ただ、とりあえず言えることは、「1年間本気で続ければだいぶ違う」ということ。
1年半前の自分がそうでしたが、プロモーションを軽視せず、一度腰を据えてやってみると面白いと思います。

せっかく頑張って作ったものは、少しでも売れた方がいいわけですし。



最後にちょっと宣伝になっちゃいますが、今、boardという新サービスのベータ版を公開しています。これは、受託ビジネスに特化したバックオフィス業務・経営管理システムで、自分たちが受託ビジネスをやっている中で、バックオフィス業務を軽減・効率化するために作り始めました。

これはPattoと違い、ウェブサービスで、ターゲットはどちらかと言うと、IT寄りなベンチャー、しかも経営者や総務系の責任者で、Pattoとはターゲットが全く異なります。

そのため、プロモーションの仕方も全く異なるわけで、昨年のプチ成功体験は捨てて、また新たに試行錯誤中です。

自己紹介:

ヴェルクの社長 田向(@fw_tx76129)のブログです。
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