奄美で新種キノコ
奄美で新種キノコ
自然観察の森の森で発見された新種のキノコ・コツブザラミノヒトヨタケ=宇都宮さん提供=
「コツブザラミノヒトヨタケ」
研究チーム 地球規模でDNA調査
龍郷町の奄美自然観察の森で採取されたキノコが5日、学術誌の電子版で新種として発表された。千葉県立中央博物館の環境研究科・吹春俊光さんらの研究チームと、奄美自然観察の森の元指導員・宇都宮英之さん、千葉大学、京都大学、東邦大学などと協力して調査。発見されたキノコは「コツブザラミノヒトヨタケ」(学名・Coprinopsis asiaticiphlyctidospora Fukihara&Horigome)と命名された。
研究チームがアンモニア菌類の一種で、世界に広く分布するといわれているザラミノヒトヨタケを地球規模でDNA鑑定しながら調査したところ、ニュージーランド、カナダ、中国(北京)で形態的に類似した別の種類(新種)を発見。奄美と沖縄で採取したキノコも近縁だが別種と確認された。
アンモニア菌類は動物の死体やふん尿の分解跡に発生するという。吹春さんは自然が残っていることを前提に各地域で調査を行っている。奄美大島では宇都宮さんが調査地に生える菌類を定期的に撮影・採取し、定期的に吹春さんに提供して現地調査を実施した。
コツブザラミノヒトヨタケは、ザラミノヒトヨタケと比較すると、形態的には似ているものの胞子の大きさや表面の模様など、胞子そのものに違いがあるという。また、各地で行ったDNA鑑定の結果、沖縄のほかタイにも同種が分布していることが分かった。
吹春さんは「本州や九州ではなく、タイで同じような種類が発見されたことから見ても、奄美や沖縄の自然は、日本よりも熱帯、亜熱帯とアジアの自然に近いということが分かった」と説明。調査に協力した宇都宮さんは「キノコ類は研究している人が少ない上、奄美は特に大学などの研究機関がないため、さらに資料が少ない。これから世界自然遺産登録を目指す上でも、こういった調査は必要になる」などと語った。