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2014-05-18

[]『SFマガジン』読め、指が折れるまで

※気になったことをざっくりメモ。ざっくりなので、ところどころ飛躍があります。不明な点があったらコメント欄かTwitterで聞いてください。


昨日、Twitterにて「『SFマガジン』を買っている人は、どのくらい中身を読んでいるのだろうか?」という問題提起を行ってみた。

なぜこのようなことをしたのかというと、SF大会のスタッフをやっているような人(頻繁に『SFマガジン』を買っているであろう人たち)でも「SFは不人気だ」「SFは衰退している」「最近の若者はSFを読まない」といったような言説を無批判に受け入れているのを散見したから。


これはぼくの観測範囲の話になってしまうので、どこまで一般性を持つかは分からないのだけれど。

そういう人たちは、たとえば『SFマガジン』や『SFが読みたい』でたびたび取り上げられている『紫色のクオリア』や『人類は衰退しました』、『All You Need Is Kill』や、長谷敏司の諸作品などを知らなかったりする。「読んでいない」ではない。「存在を知らない」のだ。

また、大学読書人大賞の存在も知られていない。第一回の受賞作が新装版『幼年期の終わり』であったことや、毎年候補作の上位にSF作品が多数食い込んでいることも。

このような不知は、(毎月ではなくても)『SFマガジン』の書評欄や特集、大森望の連載などを読んでいれば起こらないはずのものだ。


無論、SF的なアイデアを使ったライトノベルが多数刊行されていることや、SF小説が大学読書人大賞で注目されていることが、SFというジャンルの活況や読者の若返りを示すことにはならない。

しかし、「何の留保もなくSFは衰退している、最近の若者はSFを読まない、といった言説を用いてはいけない」ということは示唆してくれるはず。

であるのに、こういった雑な言説がSFファンの間(ごく一部であると信じたい)で、いまだに幅を利かせているのはどういうことか? サンプル不足に起因する傾向の偏りをひとまずおくとすれば、以下のような推論が導き出される。


1.コアなSFファンでも、『SFマガジン』を買っていない

2.『SFマガジン』を買っているが、実は買ってるだけであまり読んでいない

3.『SFマガジン』を買っているが、時評や書評には興味がないので読んでいない

4.時評や書評を読んでいるが、若者文化に興味がなく当該部分を読み飛ばしていた


いずれにしても嫌な気分になる推論だ。個人的には2がクサいと踏んでいる。


いうまでもなく、一人の人間が持ち得る時間は限られており、興味の範囲もまた有限である。

興味がないものを読まないことは個人の自由であるし、そのことをもって責める気は毛頭ない。ぼくも『SFマガジン』を毎月買っているわけではないし、買っても特集、コラム、書評、たまに短編小説も読むかな〜? くらいなので。

しかし、不知に基づいてSFの衰退を論じたり、若い読者の流入がないと嘆いたりするのは良くないことであると思う。

「自分が面白いと思うSFというジャンルを、多くの人に知ってもらいたいな」という善意から発したものであったにしろ、また「世の中の馬鹿どもはSFの面白さなんかわかんねーでしょ」「最近の若い奴らは難しい小説とか読めねーんだろ?」といった高慢や侮りに発するものであったとしても、この種の誤解は世代間やジャンルの間に断絶を生む要因になりやすい。


話が長くなりそうなので、ここらで無理やり結論を出すと、「みんなもっと『SFマガジン』を読もうぜ」。

定期読者でもなく、買っても全編目を通すような読者でもないぼくがこんなことを言うのはおこがましのだけれど、面白い雑誌だと思いますよ『SFマガジン』。

掲載されている小説は洋の東西を問わず、書評欄は周辺ジャンルへの目配りが利いていて、映画や音楽への言及もある。ジャンルの歴史について語るコラムがあれば、ジャンルの動向を解説する記事もある。一時期、SFについて「浸透と拡散」ということが言われたけれど、浸透と拡散の後のジャンル状況を踏まえた、多様性にあふれた良い誌面だよ。

買ったのに読まないとか、一部だけ読んでハイサヨナラとか、もったいないぜ。


最近は雑誌業界も世知辛く、多くの雑誌が「選択と集中だー!」なんて言って多様性をかなぐり捨てたりしている。その結果、迷走して爆死したり……。

いまだに『SFマガジン』が現在のような多様性を維持しているのは、なかなかすごいことだと思うのですよ。ちょっとした奇跡だよ。

(「多様性なんて、今の時代では求められていないよ」という指摘はもっともなんだけど、多様性を捨てたところでそこに何があんのかって話)

そんなわけで、もっと読みましょう『SFマガジン』。ぼくも、これからはもっと丁寧に読むよ。


あ、最後に。『SFマガジン』編集部のみなさま、700号達成おめでとうございます。機会があれば、ぼくにも何か仕事ください。

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