2014-05-15
国立国会図書館で発生した保守・運用委託会社による内部情報の不正取得についてまとめてみた
インシデントまとめ | |
国立国会図書館の館内ネットワークで発生した保守・運用委託である日立製作所社員(技師)による内部情報の不正取得についてここではまとめます。
(1) 概要
2014年5月15日、国立国会図書館と日立製作所はそれぞれ図書館の内部情報の不正取得に関するお知らせを公開しました。日立製作所は国立国会図書館の保守・運用業務を請け負っていましたが、同社の社員が保守運用業務のために割当てられた管理権限を悪用し行ったことが明らかになりました。
(2) 被害
- 日立製作所技師は不正に取得した入札情報等を少なくとも次の4人にメールで共有していた。
不正取得された情報資産
確認(報道)されている不正取得された具体的な情報は次の通り。
(3) 発端
- 日立製作所技師と一緒に貸与PCの画面を見ていた国会図書館職員が閲覧ファイル履歴の不審な点に気づいたことによる。*3
- 技師が見てはならない管理業務と関係ない入札に関る資料のファイル名であったため。
- その後の調査から職員専用フォルダにアクセスしていたことが明らかとなった。
(4) 原因
(5) 対応・対策
国立国会図書館側
対応
対策
- 日立製作所へ当該事案に関する徹底した事実解明、是正措置を要求
- 日立製作所に対して以下の厳正な措置を検討
- 契約解除
- 指名停止
- 損害賠償請求
- 国立国会図書館内における情報セキュリティ対策の一層の強化
- 国立国会図書館内の運用管理者の不正行為を抑止する再発防止策を早急に講じる
日立製作所側
対応
- 不正取得に関する情報の公開
- 2014年4月4日の国立国会図書館案件の入札辞退
- 国立国会図書館への謝罪*5
- 当該事案に関する継続調査
- 不正取得に関った社員5人を国立国会図書館と関係ない部署へ異動
- 技師と営業担当者は2014年5月15日時点で自宅謹慎中
対策
- 情報管理ルールの見直し
- 情報セキュリティに関する教育の再徹底
- 全社での取り組みとして不適切行為を牽制できる仕組みの再構築
- コンプライアンスのさらなる強化等による再発防止の徹底
- 当該事案の関係者5人の処分
インシデント関連情報
インシデントタイムライン
更新履歴
- 2014/05/15 PM 新規作成
- 2014/05/16 AM 最新情報の反映
*1:日立社員が国会図書館の入札情報などを不正取得、管理者権限を悪用,ITpro,2014/05/15アクセス:魚拓
*2:入札情報:日立社員 保守中の国会図書館から不正入手,毎日新聞,2014/05/15アクセス:魚拓
*3:図書館から他社見積もり不正取得 日立の担当技師,共同通信,2014/05/15アクセス:魚拓
*4:日立社員 国会図書館入札情報を不正入手,NHK,2014/05/15アクセス:魚拓
*5:権限悪用し内部情報取得=国会図書館ネットワークで−他社の提案書も・日立製作所,時事通信,2014/05/15アクセス
*6:日立社員、国会図書館の入札情報を不正取得,読売新聞,2014/05/16アクセス:魚拓
*7:日立社員、国会図書館の内部情報入手 LANを不正利用,朝日新聞,2014/05/15アクセス:魚拓