日本で歴史小説と嫌韓本が人気を集めるワケ

「強い日本が懐かしい」
人気小説『村上水軍の娘』…戦国時代の海賊の活躍を描いた歴史小説
雑誌社は嫌韓世論を主導
出版市場、2000年の2兆4000億円規模から昨年は1兆7000億円規模に縮小

日本で歴史小説と嫌韓本が人気を集めるワケ

 包み隠さず言うと、今回の日本探訪の動機は「日本人の胸の内をのぞいてみよう」というものだった。なぜ安倍首相はあのように振る舞い、なぜ多くの日本人がそんな安倍首相に熱狂するのか。日本人の心の中に、何が起こっているのか。人々の胸の内を探る上で、書店に勝る場所はないだろう。

 東京都心の千代田区神保町。古書店をはじめ、大小約170余りの書店が集まる「本の町」だ。ここにある6階建ての大型書店「三省堂」を訪れたのは、先月24日のことだった。売り場1階の最もよく見える場所には「本屋大賞」と書かれた特設コーナーがあった。「本屋大賞」とは、日本の主な書店の店員が、最近1年以内に出た本の中から「最も売りたい本」を選ぶイベントだ。毎年4月に実施され、今年で11回目を迎える。受賞作はほとんどがベストセラーになり、映画化もされる。日本人がよく読む本を知る上での指標になるわけだ。数百冊の本が積まれている台で本を開いていた40代の男性は「受賞作に関心がある。買おうと思う」と語った。

■自信を失った日本人「昔の栄光が恋しい」

 今年の「本屋大賞」に選ばれたのは『村上水軍の娘』。戦国時代、織田信長に対抗して瀬戸内海を中心に活躍していた、村上水軍を素材にした歴史小説だ。昨年の大賞は『海賊と呼ばれた男』だった。190万部売れたこの本は、石油会社「出光興産」を創業した出光佐三を主人公にした実話小説だ。内容は、敗戦直後の1950年代、日本の実業家が西欧のメジャー資本と戦い、国家再建のため奮闘するというもの。

 日本で最近ベストセラーになる本は、昔の栄光を回顧する本や、強い日本を懐かしむ歴史物が多数を占めている。第2次世界大戦で特攻隊員だった祖父の足跡を追う孫の物語を描いた小説『永遠の0』は、2006年の出版後、最近再びミリオンセラーになった。昨年12月には映画化され、800万人の観客を動員した。安倍晋三首相も、映画を見て「感動した」と語った。

 「強い日本」を懐かしむ歴史物が人気を集める理由は、日本が長期不況に直面する一方で、格下と考えていた韓国や中国の国力が高まり、日本人が不安感を抱いているからだ-と分析されている。出版・メディア専門の週刊紙『文化通信』の星野渉編集長は「かつては『西欧に学ぼう』という系統の本がよく売れたが、最近は『西欧も日本を立派な国と考えている』という類いの本がベストセラーになっている。自信があるなら外国からどう見られようと気にしないが、景気が低迷し、国民が自信を失っているのが原因」と語った。

李漢洙(イ・ハンス)文化部記者
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