ドラゴンクエスト3のテレビCMを憶えているだろうか。
覚えていない方は以下のCM動画を見てほしい。
(ドラゴンクエスト3 テレビCM)
「触れたら最後、日本全土がハルマゲドン!」がドラゴンクエスト3のキャッチフレーズだった。1988年の話である。
80年代〜90年代に掛けて日本はハルマゲドンや終末論のモチーフが成立していたことを窺い知れる。「北斗の拳」「風の谷のナウシカ」「女神転生」「真・女神転生」「風が吹くとき」「新世紀エヴァンゲリオン」なども終末をテーマに扱った作品で人気を博した。
しかし、00年代になると急激にこれらの終末を扱った作品は減っていく。新世紀に突入したこと、ノストラダムスの予言があたらなかったこと、東西冷戦が終結したこと、9.11の発生により核兵器よりもテロの脅威の方が現実味が増したことなど色々な理由があげられるだろう(そしてどの理由も背景の説明として正しいのだろう)。
オウム真理教の登場のコンテキストは、このような80年代〜90年代に掛けての終末論の隆盛を抜きには語れない。
そして今、終末論のない世界に私達は生きている。「戦争映画」や「戦争ドラマ」が私達に感動を起こすように、終末論の悲劇性や破壊力は私達に恐怖と感動を与えていた。そのような要素がない宙ぶらりんな世界に私達は生きている。