今年秋に韓国への修学旅行を予定していた秋田県立能代松陽高(能代市)と私立明桜高(秋田市)が、先月16日の旅客船セウォル号沈没事故を受けた現地交通機関への不安などから韓国行きを中止したことが14日、分かった。県教委高校教育課は「学校の意向を尊重したい」としている。
能代商高と能代北高が統合して昨春開校した能代松陽高は「実践的な国際教育に力を入れる学校」を目標に掲げ、修学旅行の行き先を韓国と決めていたが、初年度の昨年は北朝鮮による弾道ミサイル発射の動きを受けて行き先を京都、奈良、大阪に変更していた。
今年も沈没事故の直後から韓国行きへの不安の声が保護者から上がり、先月27日の2年生のPTAの会合で反対論が噴出。ツイッターに疑問の声を書き込んだ生徒もいた。今月に入って学校側が保護者に参加承諾書への記入を求めたところ、9割以上が韓国なら承諾しないと回答したため、行き先を昨年同様、関西に変更した。
長岡光夫校長は「情勢の変化で行き先変更となった。保護者の不安の気持ちはよく分かり、やむを得ない」と話している。
一方、明桜高の近藤和裕校長によると、沈没事故を受けて韓国政府が各学校に外国からの修学旅行受け入れを中止するよう通達したため、姉妹校を訪問できなくなったという。同高も関西に行き先を変更した。
県は大韓航空の秋田−ソウル便の路線維持策として、補助金を出すなどして韓国への修学旅行を推進しており、観光振興課によると、ピーク時の平成23年度には公私立の28校が韓国を訪れていたが、昨年以降は減っている。
県教委によると、能代松陽高以外に今年韓国行きを予定していた県立高3校に変更の動きはない。秋田公立美術大付属高等学院や、中学校で唯一韓国に行く県立大館国際情報学院中も予定通り実施するとしている。