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経済
【経済裏読み】さらに国際世論から孤立する中国…独政府の微妙な“嫌悪”、ベトナムとの対立で悪化か
習氏がもくろんだのは、ナチスが行った侵略行為やユダヤ人迫害を取り上げ、「ドイツは戦争の謝罪と補償を済ませたが、日本は謝罪していない」という国際社会へのアピールだ。
ドイツなど欧州各国にとって、中国は製品を売り込む巨大なマーケットで、決して軽視できない存在だ。それでもメルケル政権は歴史論争に巻き込まれることを嫌ったのだ。
クリミアと重ならないか?
その一方、中国が警戒していた米国の対中包囲が強まっている。
オバマ氏は日米共同宣言で、尖閣諸島が日米安保条約の適用範囲と明言。さらにフィリピンで締結した軍事協力協定で、米軍の定期的な派遣や軍事施設の共同使用を明記し、冷戦終結後の1992年に撤退して以来、22年ぶりにフィリピンに回帰することになった。
オバマ氏は「中国を封じ込めるためではない」と述べた。だが、米国の尖閣防衛への関与、フィリピンへの米軍回帰が示すことは何か。中国の南シナ海の岩礁の領有権をめぐるフィリピン、ベトナムとの対立や、東シナ海での尖閣領有権主張に対し、封じ込めに腰を上げたとみるのが妥当だろう。
ところが、中国は5月3日、ベトナムが排他的経済水域を主張する南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島周辺で、海底資源の掘削作業を始めると通告。中国の大型監視船がベトナムの警備艇を攻撃し負傷者が出るなど、一触即発の事態となっている。スプラトリー(中国名・南沙)諸島でも中国、フィリピンの衝突が続く。
力ずくで領有権を獲得しようとする中国だが、ベトナムなどの危機は欧州各国が直面しているウクライナ問題をほうふつとさせる。ウクライナ解決の最前線に立つメルケル氏は、習氏との会談を振り返りつつ、この横暴をどう見ているのだろうか。
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