任意で加入する自動車保険の保険料が今秋以降に上がる見通しだ。損害保険各社は4月の消費増税で車の修理費が上がり、保険金支払額が増えるとみているからだ。昨秋には事故を起こした人の保険料を通常より割高にする制度を導入。国が運営する自動車賠償責任保険(自賠責保険)の保険料も上がっており、利用者の負担感は強い。自動車保険の契約は1年ごと。補償内容を見極め、保険料を見直したい。
都内に住む男性会社員の中村裕吾さん(仮名、52)は昨秋、自家用車を運転中、飛び出してきた猫を避けようとして車をガードレールにぶつけた。修理代が30万円強とかさんだため大手損保の保険を使ったが、この夏の更新で保険料は上がる。
■等級に応じ割引き
損保会社の説明では中村さんは「等級制度で3段階下がる」という。等級制度とは事故歴に応じて保険料を割り引いたり、割り増したりするもので、初めて加入する人は6等級から始まる。1年間無事故なら1つ上がり、上限は20等級まで。等級が上がるほど保険料の割引率は大きくなる。
昨年秋の制度改正では等級ごとに1つだけだった割引率を「無事故」と「事故あり」の2つにした。同じ等級でも「無事故」の方が「事故あり」より割引率は大きい(図A)。中村さんは3等級下がったうえで、割高な「事故あり」の保険料が適用される。
自家用車に乗る契約者が払う平均の自動車保険料は年間7万7000円程度。中村さんが損保会社に見積もりを聞いたところ、8万円強となった。今秋以降の値上げを想定すると、将来の保険料はさらに増える見通しだ。これまで補償内容をよく調べず更新を重ねてきたが、今回は吟味したいという。