昔は「学生街の喫茶店」が通り相場だったが、いまやキャンパス内には大手コーヒーチェーンの店舗が続々と進出している。少子化で18歳人口の減少傾向が続くなか「おしゃれなカフェ」で受験生を引き寄せたい大学側と、市街地での出店が飽和状態に迫って新市場を求める企業側の思惑とが合致した格好だ。

■一般市民も利用

 京都市伏見区の龍谷大深草キャンパス。「受験生もきっと関心を示してくれるだろう」。工事中の校舎を横目に職員が話した。図書館が入るこの建物では来年4月、コーヒーチェーン「スターバックス」の店舗がオープンする。

 同チェーンの大学構内(付属病院内を除く)での出店は東京大、筑波大、名古屋大の国立3大学に次いで4店目。私立大、西日本ではともに初だ。

 龍谷大では施設について学生や教職員約500人にアンケートし、カフェ設置の要望が多く寄せられた。約8割に選ばれたスターバックスと交渉を重ねてきた。建物の入り口付近に開店し、すぐそばの公道を歩く一般の市民からの利用も見込む。

 大学は構内への出店を誘致した理由を「学生の福利厚生面への配慮や学生同士の交流推進の場を設けたかった」と説明する。人気店の出店で、学生が学内で過ごす時間が長くなれば教育上もプラスだと期待する。

 京都大では2010年1月、タリーズコーヒー京都大学時計台店(京都市左京区)がオープンした。

 友人と3人で就職活動の相談をしていた経済学部3年生の岩本麻衣さん(21)は週3回ほど利用する。「講義の空き時間など気軽に立ち寄れるのが便利で気に入っています」。土日には子供連れでやって来る近隣住民の姿も目立つ。

 立命館大では08年、びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)に大手サンドイッチチェーンの「サブウェイ」が出店した。

 特に充実しているのが関西学院大だ。西宮上ケ原キャンパス(兵庫県西宮市)にはサブウェイの他、パンで有名な神戸屋など3店がある。神戸三田キャンパス(同県三田市)には昨春、地元の老舗ケーキ店がカフェをオープン。大学側は「若者が好みそうな店を誘致することは、キャンパスの魅力向上策の一つ」。