集団的自衛権:創価学会「改憲経るべきだ」
毎日新聞 2014年05月17日 19時47分(最終更新 05月17日 22時58分)
公明党の支持母体である創価学会は17日、安倍晋三首相が目指す憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認について「本来、憲法改正手続きを経るべきだ」との見解を広報室コメントとして明らかにした。「慎重の上にも慎重を期した議論」を求めており、20日から始まる自民、公明両党の与党協議に影響を与えそうだ。
広報室のコメントは、集団的自衛権を保持するが行使できないとの政府見解を念頭に「これまで積み上げられてきた憲法第9条についての政府見解を支持している」と強調。政府が秋の臨時国会までに解釈変更の閣議決定を目指していることについて「国民を交えた、慎重の上にも慎重を期した議論によって、歴史の評価に耐えうる賢明な結論を出すことを望む」とけん制した。
公明党が与党協議での検討に前向きな姿勢を示しているのは、首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が報告書で示した事例のうち、国連平和維持活動(PKO)での自衛隊の任務拡大や武力攻撃に至らない「グレーゾーン」事例など、憲法解釈の変更を伴わないものにとどまる。
公明党の与党協議メンバー、上田勇外交安全保障調査会長は17日、TBSの番組で、グレーゾーン事例について「もう少し変えることができるのか、しっかりと協議していきたい」と表明。北側一雄副代表も16日のBS番組で、グレーゾーン事例のうち、外国潜水艦が日本領海から退去しない場合について「自衛官の武器使用はもう少し柔軟にできないか、議論の余地がある」と指摘した。公明党としては与党協議で、これらの事例を先行して協議したい考えだ。【高本耕太】
創価学会広報室のコメントの全文は次の通り。
私どもの集団的自衛権に関する基本的な考え方は、これまで積み上げられてきた憲法第9条についての政府見解を支持しております。したがって、集団的自衛権を限定的にせよ行使するという場合には、本来、憲法改正手続きを経るべきであると思っております。集団的自衛権の問題に関しては、今後の協議を見守っておりますが、国民を交えた、慎重の上にも慎重を期した議論によって、歴史の評価に耐えうる賢明な結論を出されることを望みます。