ここから本文です

アメリカの無法監視をばらした上級スパイ「スノーデン」の暴露本――グーグル、フェイスブック、アップル、米軍三沢基地でも〈週刊新潮〉

Book Cafe 矢来町ぐるり 5月14日(水)12時19分配信

写真を拡大 写真を拡大

アメリカの無法監視をばらした上級スパイ「スノーデン」の暴露本――グーグル、フェイスブック、アップル、米軍三沢基地でも〈週刊新潮〉

写真を縮小 写真を縮小

アメリカの無法監視をばらした上級スパイ「スノーデン」の暴露本――グーグル、フェイスブック、アップル、米軍三沢基地でも〈週刊新潮〉
『暴露―スノーデンが私に託したファイル―』(グレン・グリーンウォルド/田口俊樹他訳)

米国の諜報機関NSA(国家安全保障局)から大量の最高機密文書を持ち出し、ロシアに身を潜めるエドワード・スノーデン(30)。彼から資料を託されたジャーナリストが、ついにその全容を明かした。世界24カ国で同時発売される衝撃の著作の中身とは――。

【その他情報】アメリカの無法監視をばらした上級スパイ「スノーデン」の暴露本

 パソコンを乗っ取ってデータを盗み見、携帯電話を遠隔で操って盗聴器として動作させる。スパイ映画もかくやの技術が今や実際に使われているという現実を、5月14日発売の『暴露―スノーデンが私に託したファイル―』(グレン・グリーンウォルド/田口俊樹他訳、小社刊)は容赦なく読者の眼前に突きつける。

 NSAが行っていた「国民総監視」の事実が報じられ、世界に激震が走ったのは昨年6月。CIAとNSAという2大諜報機関に在籍歴のあるスノーデンが持ち出した機密文書の一端を、英紙『ガーディアン』が報じたことがきっかけだった。

 NSAは自国の大手通信会社ベライゾンに数千万人の利用者すべての国内外通話履歴を毎日提供させ、グーグルやフェイスブック、ヤフー、アップルといったインターネット関連企業9社からも、個人の検索履歴やチャット、メールの通信記録などを収集していたという内容である。

 アメリカは「プリズム」と呼ばれるこの秘密活動を通じて、全世界を対象に無制限とも言える情報収集を行っていたことが白日の下に晒されたのだった。さらに、同盟国を含む38カ国の大使館や国連の本部、EUの代表部まで盗聴している事実が報じられ、オバマ政権が深刻な外交上の問題を抱えるにいたったことは周知の通りだ。

 これら一連の報道を手がけたのが本書の著者グリーンウォルドだった。彼が今回、新たに明らかにした米国の「手口」は、ほとんど「犯罪」と言っても過言ではない。

 NSAは、ルーターやサーバーなどの機器が出荷される直前に、マルウェアと呼ばれる監視ソフトを密かに仕込んで新品として送り出す。そのことを知るよしもない無邪気な購入者は、通信内容をすべて差し出す形になる。米国内外のコンピューター10万台以上がすでに完全な監視下にあると言い、一方でフェイスブックやGメールなどに関しても、NSAはユーザーのあずかり知らぬところで「裏口から出入りできる方法」を保持している。中国製のネット関連機器について「スパイウェアが仕込まれている」と被害者ぶって何度も警告を発してきた米政府の、まさに「闇の顔」である。

 米国は「バウンドレス・インフォーマント(際限なき情報提供者の意)」と称されるこうした仕組みを用いて、世界中の人々がやりとりするEメールや通話データを追跡。その能力の凄まじさは、1カ月間にメールを970億件以上、通話を1240億件以上収集したという過去の“実績”が物語っている。

 無論、盗聴に関しても抜かりはない。有線電話、携帯電話、衛星通信は言うにおよばず、従来、傍受は不可能と言われていた光ケーブルによる有線データ通信にまでその手は伸びており、もはや彼らの監視の目を逃れる術はないほどだ。しかもそれは、スパイ映画のように「特定の誰かを標的として」ではなく、「日夜、淡々と、通常業務として」継続されているのだ。

 著者が明かした、スノーデンに対する取材手法もまた、実にスパイ映画を凌ぐほどのものがある。

前へ12
2ページ中1ページ目を表示

最終更新:5月14日(水)12時40分

Book Cafe 矢来町ぐるり

 

記事提供社からのご案内(外部サイト)

矢来町ぐるり

新潮社

「週刊新潮」毎週木曜日発売
「新潮45」毎月18日発売

「矢来町ぐるり」では週刊新潮、新潮45などの
記事を読むことが出来ます。

PR

注目の情報


他のランキングを見る