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[プレスリリース]
腸管免疫系と腸内細菌の共生関係の構築に必須の分子を発見

研究
2014/04/25  科学技術振興機構(JST)
東京大学 医科学研究所
理化学研究所
慶應義塾大学

ポイント
・腸内細菌と宿主免疫系がどのように共生しているか長い間不明であった。
・大腸の制御性T細胞の増殖にはエピゲノム制御分子であるUhrf1が重要。
・炎症性腸疾患の発症メカニズム解明に向けた画期的な一歩。

JST課題達成型基礎研究の一環として、慶應義塾大学の長谷耕二教授(理化学研究所 客員主管研究員/東京大学医科学研究所 非常勤講師)らは腸管の免疫細胞が腸内細菌と共生するために必須の分子をマウスの実験で明らかにしました。

ほ乳類の胎児は母体内では無菌状態ですが、ヒトでは出生後直ちに100兆個にも及ぶ膨大な数の細菌にさらされます。生後の無菌環境から腸内細菌が定着する際には、過剰な免疫応答を抑えるための強力な免疫制御システムが働くと考えられています。免疫応答を抑制する細胞として、制御性T細胞が知られています。しかし、どのような機構で制御性T細胞が活性化し、病理的な炎症が抑制され、腸内細菌と宿主免疫系の共生関係が構築されるのかは長い間不明でした。

長谷教授らは、無菌状態から腸内細菌が定着する際、大腸の制御性T細胞内のUhrf1の発現量が高まることをマウスにおいて発見しました。さらに、T細胞においてのみUhrf1遺伝子が欠損したマウス(Uhrf1欠損マウス)では、制御性T細胞が増えなくなり、その結果、免疫抑制機能が弱く慢性大腸炎を発症しました。

このことから、Uhrf1分子は大腸の制御性T細胞が増殖し働く上で必須であることが分かり、宿主免疫系と腸内細菌が共生関係を築く重要なメカニズムが明らかになりました。また、今回の成果は、腸内細菌と免疫系のバランスの不均衡によって発症すると考えられている炎症性腸疾患の病態解明や新たな治療法の開発に向けた基礎的知見として役立つものと期待されます。

本研究成果は、2014年4月28日(英国時間)に英国科学誌「Nature Immunology」のオンライン速報版で公開されます。

プレスリリース全文は、以下をご覧ください。

プレスリリース(PDF)

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