インディ・デベロッパーに聞く―『Call of Duty』を作るとしたらどんなゲームに?
膨大な予算と人員を投入した超大作の象徴にまで成長した『Call of Duty』フランチャイズだが、独創性の欠如を批判されることも多い。
では、限られたリソースの中で独創性を武器に勝負するインディ・デベロッパーが『Call of Duty』を手掛けたとしたら、一体どんな作品が生まれるのだろうか。The Guardianが複数のインディ・デベロッパーに聞いている。
Dan Marshall(代表作『Time Gentlemen, Please!』)
毎年の稼ぎのうちの数十億ドルを使ってまともな脚本家を雇い、マッチョ一辺倒ではない作品にするよ。単なる一本道の射的場ではない、より開かれた魅力的な体験を生み出すための技術にも投資をする。『Call of Duty』はその人気を利用してゲーム全体に貢献することができる余地がある。彼らにはそこを利用してもらいたいと思っている。当然ながら、私ならポイント&クリック・アドベンチャーにするだろう。
Dan Pinchbeck(代表作『Dear Esther』)
無限の予算でかい?ノンリニアのオープンワールドにするだろう。ひたすら何も起きない時間が続いたかと思うと、とんでもなくメチャクチャで訳が分からないアクションが突発的に起きるんだ。何がなんだか分からないまま叫んだり、パニックになって動く物には銃を撃ちまくったりするが、それが急に再び静かになり、また何が起きるか分からない世界をあてもなくさ迷う。心的外傷後ストレス障害になるまでその繰り返しだ。
Mike Bithell(代表作『Thomas Was Alone』『Volume』)
戦争に巻き込まれた、非武装の市民の視点から描いた一人称戦争ゲームにするだろう。家族を守りながら、両方の勢力から逃げるんだ。興味深いし、これまで描かれてこなかった視点だ。
Andrew Smith(代表作『Hard Lines』)
『Call of Duty: Peacekeeper』だ。キャンペーンは捨てて、非戦闘オプションを増やした、より奥の深いマルチプレーに力を注ぐ。事態をより混乱させるために第三のAIとして市民を登場させ、戦闘に更なる混乱とストレスを盛り込む。4番目のクラス――ジャーナリスト――を登場させて、死ぬとプレーアブルになり、ビデオやオーディオ、静止画で戦闘を記録していくんだ。「善玉」は平和維持軍ということになるだろう。爆弾を探す探知犬や暴動鎮圧用装備、バリケードを使って、パニックを起こした民衆を「封じ込める」んだ。しかし、ここは是非ともプレーヤーに与えられたツールの使い方次第で展開が変わるようにしたい。
「悪玉」チームは、爆弾や破壊工作を使って市民や善玉に混乱をもたらすようにする。つまり、悪玉はできるだけメディアの注目を集めることが目的で、善玉はテロリストの脅威を排除し、彼らに注目が集まらないよう、カメラに撮られないようにしながら規則を曲げようとするんだ。素晴らしい突発的なゲームプレーや極めて印象的なシナリオが生まれるはずだよ。
Byron Atkinson-Jones(代表作『Blast Em!』)
イギリス独立党は、選挙に勝っただけでなくイギリスを排外的な状態にしてしまった――国全体を閉鎖的な独裁制に変貌させたんだ。だが全て順調というわけではなく、国中で内戦が勃発する。抑圧的なファラージュ・ガールズが反乱分子を武力で押さえつけ始めるんだ。超エリートのイギリス自由解放軍の一員の元SAS隊員がプレーヤーで、あkつてはホワイトホールだった強固な要塞に忍び込み、独立党の党首を暗殺する。こんな感じでどうかな?
Alistair Aitcheson(代表作『Greedy Bankers』『Slamjet Stadium』)
私のバージョンは、『Super Puzzle Fighter』のような対戦パズルがベースだ。2人のプレーヤーが個別のステージをプレーし、敵は黄色か赤、青のジャンプスーツを身に付け、同じ色を3回連続撃つとチェーン獲得だ。チェーンを獲得するほど対戦相手のステージの敵が増えるが、それをチェーンで返すと、更に大量の敵を送り返すことができる。ドカーン!タイトルは『Call of Duty: Combo-Bustin’ Chaos』だね。
Ricky Haggett(代表作『Hohokum』)
もうすぐ第一次大戦から百年という節目なので、第一次世界大戦の北フランスの塹壕にシリーズを回帰させる。戦闘の合間の生活をメインにするよ。ちゃんとしたお茶を入れたり、射撃訓練にネズミを使ったり、ロウソクで毛布のシラミを焼いたり、カード遊びをしたり、故郷に手紙を書いたり・・・それも全て凄まじい砲撃の最中にね(揺れるカメラや耳をつんざくようなオーデオ・デザインが満載だ)。各ステージの最後には、主人公と戦友たちが塹壕のハシゴを登って敵に突撃し、全てが真っ白にフェードしていって、次のステージが始まる。すると、戦友の何人かはいなくなっているんだ。
Mitu & George Khandaker-Kokoris(代表作『Redshirt』)
George Khandaker-Kokoris
私が『Call of Duty』の新作をデザインするとしたら、『Doom』のWADになるだろう。Mitu Khandaker-Kokoris
私なら、複雑なソーシャル・シミュレーションにするだろうね。お国への奉仕と、盛り上がりつつある仲間への恋愛感情を上手くやりくりしなければならないんだ。
James Parker(代表作『Salvaged』)
私は『Gone Home』以降にしては時代遅れの観点を持っていて、『Call of Duty』シリーズが提供してくれる自由気ままなヘッドショット祭りをかなり気に入っているんだ。シングルプレーは極めて無意味な気晴らしド派手スペクタクルであるというのは確かだし、『Modern Warfare』における純粋に革新的で興味深いストーリーの高みには到達してこなかった。しかし、『Call of Duty』のメインは常にマルチプレーであって、その面では今でも緊張感のある正確無比な、概ね欠点の無いシューターだ。企業としては、本編と同時進行で部隊全体を操作できるリアルタイムの第二画面タクティカル体験を提案するのが正しいんだろうが、実際はというと、ビリー・ジョエルに倣って「ありのままの君を愛しているよ」と言いたい気分だよ。
Bennett Foddy(代表作『Girp』『Qwop』)
ゲームの冒頭でプレーヤーは、仕事場まで車を走らせてサーバー室に座り、画面を見ながらボタンを押してドローンに命令を出すんだ。敵の軍人や軍事施設を破壊するたびに10000ポイント入手できるが、市民を誤爆すると1ポイント惹かれてしまうので注意が必要だ。
Adam Saltsman(代表作『Canabalt』『Hundreds』)
『Call of Duty: War Photographer』だね。プレーヤーはベテラン戦場ドキュメンタリー作家Angela Espinozaになって、メカニカル・フィルム・カメラだけを手に紛争地帯に足を踏み入れる。ひっきりなしにFストップを調整したり、アナログ・トリガーと十字キーでレンズを交換する。戦闘が終わるごとに写真を現像し、プレーヤーが運営するギャラリーや通信社に売っていくんだ。
Ste Curran(ゲーム・コンサルタント)
狙撃銃のスコープを冷徹に覗き込む。砂だらけの瓦礫や長い影、崩れかけた石造りの小屋が点在する不毛の地に素早くズーム。レッド・ドットが戸口で踊る。突如として動きがある。ドットで素早く追うが、それはレーザーを追う痩せこけた猫に過ぎなかった。猫はふとレーザーを追うのを止めて耳を平らにすると、顔をスコープに向ける。見られたか?すると、不自然なまでに人間的な動きを見せる手を伸ばし、尻尾の背後からDesert Eagleを取り出す。猫が引き金を引くと全てがスロー・モーションになり、主人公の視点が背後に仰け反る。画面が真っ暗になる直前、プレーヤーは背後の割れた鏡に映る自らの崩れ落ちる体を目にする。プレーヤー自身も猫だ。そこで『Call of Duty』のロゴ。どういたしまして、Activision。私はインターネットの需要を知っている。Grumpy Catシーズン・パスの詳細について知りたければ連絡してくれ。
Ian Bogost(代表作『Cow Clicker』『Simony』)
『Call of Duty: Fallen』だ。プレーヤーは、ペロポンネソス戦争から現代の無人ドローン戦争に至るまでの人類の歴史における様々な戦争を網羅した見せ場の連続を通して、戦闘で負傷、もしくは障害を負った兵士となる。その全てで、兵士は苦しみ抜いた後に死を迎えることになる――シナリオごとに毎回違う形でね。兵士の最終的な務めは、解放でも防御でもなく、殺しですらなく、死ぬことであり、このゲームはその本質だけを掘り下げたものになる。
Jim Rossignol(代表作『Sir, You Are Being Hunted』)
次の『CoD』は、ボーンマス付近を舞台にして、芝生を台無しにされた退役した大佐をフィーチャーすべきだ。第二の嫁Miriamに打ち明けた後、血生臭い復讐に臨むんだ。
Cara Ellison(代表作『Sweatshop』『Sacrilege』)
ロンドン大空襲を舞台にしたOculus Riftのゲームですね。停電で、タバコの光も電気も無い。主人公は出産間近の妊婦で、赤ちゃんが生まれる前にロンドンを横断して病院か助産婦のところに辿り着かなければならない。音と影を頼りに移動し、他人の声に助けを求め、爆弾を避けていくというアイデア。Sledgehammer Games、君たちの出番だぞ。
[ソース: The Guardian]