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(仮)王様と王妃様 作者:ちしゃ

*6*

今回ちょっと長いです。
王子を連れ帰った人形王妃サフィーリアの元へは、生まれた王子ユリウスの顔を見には行ったがそれだけで、夜はたいていルイザと過ごした。

王子ユリウスは私から見ても、可愛らしい赤子だった。
キスを贈りたくなるようなふっくらとしたバラ色の頬、太陽の光を溶かしたような金色の髪、紺碧の海を思わせるエメラルドの瞳。

・・・・・私と人形サフィーリアの容姿の良い所を見事に引き継いだようだ。



私の姿があるとき、人形サフィーリアは表情こそ変わらなかったが「ユリウス、ユリウス」と呼ぶ声は、今までになく、柔らかく温かく聞こえた。


私に、寵姫が出来たと聞いているはずなのに、表情に出さない人形サフィーリアの態度は正直面白くない。

もう少し反応があっても良いのではないかと不満に思う。


だが、ルイザは王宮内で侍女や、侍従達から嫌がらせを受けると言っては、泣いていた。

その者達に、嫌がらせを指示している黒幕が、王妃サフィーリア様ではないかと、ルイザに訴えられて、私は激怒した。


人形王妃サフィーリアが王宮に戻った際、その表情は変わらなかったものの、手を強く握り絞めていたと報告を受けていた私は、人形サフィーリアが嫉妬からルイザに嫌がらせをしていると疑いもせず、そんなに私に抱かれたいのならば抱いてやろうと、部屋に乗り込み、人形サフィーリアを引きずり出し組み敷く。

ほの暗い激情にまかせ、優しく接する必要を感じなかった為、かなり手荒に抱いた。

近くで赤子の無く声が響いていたが、侍女達が別室へ連れて行ったのかそのうち聞こえなくなった。



激情は1日で収まらず、2日、3日と続けるうちに、ハタと我に返り横でつぶれている女に気が付く。
間に側近の者達が入れ替わり説得に来たような気もするが、あまり覚えていない。

・・・・そして、横に寝ていたのは、酷く顔色の悪い女だった。

人形サフィーリアは、虚ろな目をして、ひたすらに「・・・・知らない」、「・・・・許して」とばかり言っていたような気がする。



そんな事があってからもルイザに対する嫌がらせは続いたようだ。

実際、人形サフィーリアは寵姫に対する虐めには無関係だったらしいが、激情に身をゆだねていた私にはどうでもいいことだった。


優しく美しいルイザは可愛そうに王宮に来てから休まる暇がない。

いっそ王妃はじめ侍従・侍女達も総入れ替えをして追い出してしまった方が私の心も落ち着くというものだ。


王妃は、公爵を抑える為の駒だから無理だが、侍従・侍女達は追い出しても問題ないというものだろう。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


1日の政務をおえて、私は愛しいルイザの待つ部屋へと戻る。


「ああ、ルイザただいま。」

「ジュリアス様お帰りなさいませ。」

嬉しそうに、にこやかに迎えてくれるルイザ。
ソファーに一緒に座り、他愛ないおしゃべりに興じる。

「今日は、中庭の花壇のお花がきれいに咲いていましたので、摘んでお部屋に飾りました。
バラや、ユリも綺麗ですが、こういった野の花っぽい物も素朴で可愛いと思われませんか?」

「ああ、こういった花も部屋の感じが変わっていいいものだ。」

「でも、途中で王妃様にお会いして中庭の花は勝手に摘まない様に注意されました。
中庭で咲く、素朴な花を飾ることはみっともないと思われたのでしょうか?」

シュンとしながら語られた言葉に、王妃が嫌味を言ったのだと分かる。

「私はみっともないとは思わないよ、ルイザ。
他には今日はどんなことをしたのか聞かせて・・・?」

「はい!お花を摘んで、お部屋に戻ってからはお気に入りの紅茶でお茶を楽しみました。
あと、王都の孤児院へもう少し寄付をしてもいいですか?」

「ルイザに渡した予算の内なら構わないよ。
ルイザは本当に優しいね」

優しいルイザに嫌がらせをする侍従・侍女達が許せなく、侍従・侍女達は嫌がらせの証拠を掴んだら追い出すことにした。

王の一存で処罰を断行しようとした所、側近の者達に止められた。

曰く、『証拠の無いのに、そのような事を断行することは、王としての品格に傷が付きます』とのこと。
・・・・疑わしきは罰してしまえばいいのだと、内心思ったが、側近の意見を尊重することにした。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

嫌がらせをする馬鹿どもはなかなか減らない、あの人形王妃サフィーリアは嫌味を言うだけのようで嫌がらせに加担していた証拠は出てこなかった。

その嫌味も周りの者が言うには嫌味ではなく、純然たる注意で王妃様に非はないという。

側近の者達までがそのように証言し、逆にルイザのとる問題行動に関して当然の注意だと言い出すしまつ。

側近までが騙されている現状に私は、人形サフィーリアが上手く立ち回り、周りの者が嫌味を嫌味と思っていないだけだろうと思った。

それからしばらくして、ルイザに対する嫌がらせはかなり減った。


愛おしい日々を過ごし、それを与えてくれる愛するルイザを王妃にしたいとより一層思うようになった。


ルイザを王妃にしたいと側近に漏らした際には大反対をくらったが・・・

この時、なぜ優しいルイザが王妃ではいけないのかと憤慨したものだ。

現王妃サフィーリアがいかに素晴らしいか解いていた者もいたが、正直聞く気が無かったので速攻執務室から放り出した覚えがある。

いわく、『ルイザ様では王妃として行動することはかないません』と。

何もしていないあの人形の方が王妃としては立派に勤めを果たしていると聞き信じられなかった。

何もしない人形サフィーリアのどこにルイザが劣るというのか?

ルイザは美しく、優しい正に理想の正妃になろうと思われるのに!!


この頃の私は恋に思い切り溺れて、溺れることのできる自分に安堵し、酔っていたのかもしれない。


お読みいただきありがとうございました。
誤字・脱字等有りましたら教えていただけると助かります。

5/7誤字訂正しました。
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