集団的自衛権:行使容認指示 自衛隊に迫る大きな岐路

毎日新聞 2014年05月15日 22時36分(最終更新 05月16日 07時12分)

パネルを使用して集団的自衛権について説明をする安倍晋三首相=首相官邸で2014年5月15日午後6時7分、梅村直承撮影
パネルを使用して集団的自衛権について説明をする安倍晋三首相=首相官邸で2014年5月15日午後6時7分、梅村直承撮影

 他国を守るために武力を使う集団的自衛権の行使容認へ向け、安倍政権が一歩を踏み出した。国の防衛を担う自衛隊には、大きな岐路が迫る。日米安保を巡り制約が減ることへの期待、国外の紛争に巻き込まれることへの懸念。現役幹部や隊員、OBらのさまざまな思いが交錯する。【斎藤良太、本多健、小川祐希】

 「日本の防衛は米軍と一体が前提。目前で米軍が攻撃を受けているとき、何もしないでは通用しない」。復興支援の任務でイラクに派遣された経験のある自衛隊幹部は、集団的自衛権の行使容認への動きを評価する。「『憲法上の制約で助けられない』という弁解より同盟国への攻撃を排除することが必要だ」

 13年前、米艦船の護衛を巡り法的根拠が問題になった。米同時多発テロが発生して10日後の2001年9月21日、米空母「キティホーク」が横須賀基地を出航した際、海上自衛隊の護衛艦「あまぎり」などが寄り添うように並んで航行した。事実上の米艦防護に旧防衛庁内でも「テロは日本への直接の脅威なのか」と議論になった。苦肉の策で政府が編み出した「根拠」は、防衛庁設置法の「調査・研究」に基づく「警戒監視」だった。

 「同盟関係の維持のためにはやむを得なかったが、無理のある理屈だった」と海自幹部は振り返る。当時、海上幕僚監部防衛部長として対応した香田洋二さんは「近年、中国の海洋進出が本格化し、安全保障に関する法制度は矛盾と限界をより強く露呈している。それを解決する必要性は切実になっている」と指摘する。

 一方、紛争の危険にさらされることを懸念する幹部もいる。「自衛官が命を落とす可能性が高まることを社会がどこまで許容するか、そのことの議論は尽くされるだろうか」

 小池清彦・新潟県加茂市長は「限定的な行使容認」に懐疑を抱く。防衛官僚時代、湾岸戦争に伴う自衛隊の海外派遣に反対した。「米国と戦争になった国に『限定』は通らない。戦争に巻き込まれると多くの死者が出る。そうなると自衛隊に入る人がいなくなって徴兵制を敷かなければならなくなり、私たちの子や孫が血を流すことになる」と語気を強める。

 現場で任務に当たる自衛隊員は−−。

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