集団的自衛権:容認指示「これからどうなる」揺れる学生

毎日新聞 2014年05月15日 22時46分(最終更新 05月16日 17時12分)

集団的自衛権の行使容認に対する大学生の意見
集団的自衛権の行使容認に対する大学生の意見

 日本の次の時代を担う若者たちは、憲法と安全保障を巡る政治の動きに何を感じているだろう。大きな議論の的になった「集団的自衛権の行使容認」に、どんな国の姿を重ねるのか。アンケートや面接での取材を通じ、大学生の意見を聞いた。【金秀蓮】

 「これからどうなるのか。頭の片隅を恐怖がよぎる」。国際協力について学んでいる横浜国立大3年の男子学生(20)は、そんな不安を口にした。昨年12月、特定秘密保護法が成立したとき、授業で友人と「知らない間に戦争に加担して、いつか徴兵されるんじゃない?」と議論した。その時はまだ人ごとのような空気だったが、「現実味を帯びているように思う」。

 戦争や原爆を体験した人から直接話を聞こうと、春休みに一人で広島の原爆ドームを訪れた。「人の命が一番大事。その命を奪う戦争は正当化できない」。そう訴える被爆者の男性の目が忘れられない。「集団的自衛権を行使することで、日本がテロの標的になる可能性もある。命を第一に考えない政策に走ることは、間違っていると思う」と話す。

 一方、「自衛隊が海外へ派遣されても、最前線で武力を行使する事態は考えにくい」という意見もある。首都大学東京4年の男子学生(21)は「自衛隊の海外での活動に制約が多い中、日本が国際社会にどう見られるか心配だ。集団的自衛権の行使は国際協力の一つ。限定的に認められるべきだ」と語る。

 憲法の改正でなく、解釈変更によって集団的自衛権の行使が認められることへの意見も聞いた。

 上智大3年の女子学生(22)は「解釈変更は政府の独断で憲法9条が改正されるのと同じ。先例ができると国民投票が形骸化する」と警戒感を抱く。専修大3年の男子学生(21)は「政治家独自の解釈を国民に押し付けるのは避けるべきだ」と批判した。

 また、「集団的自衛権はどの国にもある当然の権利」(立命館大4年男子)「日米同盟がある以上、米国を守る義務もある。集団的自衛権は不可欠」(慶応大4年男子)と、行使容認に賛成する学生も、憲法解釈の変更には否定的で、「容認するなら憲法9条を改正すべきだ」と主張した。

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