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ダイソンの吸引力の真相

ダイソンの掃除機は吸引力が強いとの評判があります。

最新のサイクロン式だから強いに決まっているという、先入観からそう思うのかもしれません。(サイクロン掃除機自体、紙パック式より吸引力が強い訳ではありません⇒「掃除機の吸引力比較」)

しかし、ダイソン社はダイソンの掃除機は吸引力が変わらないと言っているだけで、吸引力そのものが強いとは言っていません。

実のところ、ダイソン製掃除機の吸引力自体は強くはありません。

吸込仕事率という(「吸込仕事率とは」)、掃除機の吸引力を表す一つの単位があるのですが、日本製では500Wを超えるのが標準であるのに対し、ダイソンDC12とDC22は、ダイソンデジタルモーター(DMM)装備型で210W、その未装備型で200Wということになっているようです。

つまり、吸引力は日本製の半分以下ということになります。


しかし、吸込仕事率というのは実はヘッドをつけない状態で測るものなんです。そのため、ヘッドの床への密着度で吸引力、というより "床に吸い付く力" はどうとでも変わってしまうのです。

実のところ、"床に吸い付く力" があまり強くても、特に女性の力だと床(や絨毯)に吸いついて使いづらいのです。そのため、どれだけモーターが高性能化しても、一定以上の床への吸い付きは避けなければならないということになります。


ダイソンの掃除機にも消費者が満足するだけの吸引力はあります。

では、倍以上のパワーを誇る日本製の掃除機は、そのパワーをどうしているのでしょうか?

実は、日本製の掃除機は、その有り余るパワーをヘッドの直下だけではなく、前や横からもホコリを吸うようにすることに使っています。

なので、もったいないと言えばもったいないのですが、その分壁際が掃除しやすくなっています。

逆に、ダイソン製は、弱いパワーを最大限に生かすために、ヘッドの直下にパワーを集中しています。そのため壁際には弱いようです。もっとも、ヘッドを細いものに付け替えて掃除をすれば良いということにはなりますが。


多分、欧米の広い家では、壁際の隅々までも掃除できなくても、掃除済みとなる面積が広いので、大して気にはならないのではないでしょうか。

それに対し、日本では家が狭いので、隅々まで掃除できないと気になるのかもしれません。

だから、一応やはり日本製掃除機の方式の方が日本には向いているのかもしれません。


店頭で幾つかの掃除機をダイソンDC22 ddm motorheadと共に試してみましたが、私の感覚ではそれらの吸引力は、

ナショナル MC-P88WE5を100とすると…

東芝 Quie(クワイエ) 93

三洋 airsis(エアシス) 86

ダイソンDC22 ddm motorhead 80

このような感じに感じました(変に細かいですが)。


ただ、勿論ダイソン製は殆ど吸引力が変わらず、日本製は紙パック式は勿論として、サイクロン式でも吸引力が必ず落ちますので、多少弱めでもその吸引力が保証されるのには大変魅力があります。


また、ダイソン製は、家の中でも土足の国々、ヨーロッパのものですので、絨毯に入った砂や土を吸い出すのに強い仕様となっています。

そのため、日本においても絨毯に強く、日本製では取りきれない絨毯上のゴミを取れたりもするようです。そこのところも、ダイソンは吸引力が強いという感触につながっているのかもしれません。

ただ、吸引力自体は日本製より弱いのに、絨毯のゴミが沢山取れるということは、結局その分絨毯を派手に掻き分けているということになります。それは絨毯や、絨毯ではなくても畳やフローリングの床に負担をかけるということにつながります。

ダイソンのタービンブラシ式はともかく、モーターブラシ式では、学校のトイレの床を磨くような、かなり硬めのブラシがついてますので、あれを畳やフローリングの上で作動させるのは私としては躊躇します。

モーターブラシ式ではモーターを止めることができるので、気に入らなければ止めれば良いのですが、勿論その分清掃力は落ちてしまいます。

なので、私がダイソンを買うとすれば、タービンブラシ式かな、と思います(現在は仕様の変更でタービン式にも硬い回転ブラシが装備されています・・・)。

ただ、評判を聞く限りでは、皆さんmotorheadでも普通に(・・・と言うか物凄く)満足していらっしゃいますので、室内が絨毯メインの方には最適なのだろうと思います。


DC26DC36

何とDC26のmotorhead(モーターヘッド)は購入していますが、これは床への吸い付きは結構強いです。その上、回転ブラシはやはり硬いので、絨毯での清掃力はかなりの物です(日本製と比べると、硬さに遠慮がない分強いと思えます)。しかし、やはり回転ブラシが硬い分で、フローリングや畳上では、回転ブラシを止めて使うのが推奨されていました。

モーターヘッド・裏 回転ブラシ

turbinehead(タービンヘッド)の場合には、吸込仕事率が低い上に(モーターヘッド共々170W)、タービン式の回転ブラシを回す為の空気をヘッドの横から吸っているので、床への吸いつきは大して良くはありません。また、回転ブラシも、モーターヘッドの物に比べれば柔らかいですが、比較的硬めなので、フローリングや畳では、やはり止めて使うのが推奨されていました。


DC26の後期型のカーボンファイバー(CF)シリーズでは、従来の硬い回転ブラシに加え、更に静電気を抑える作用のある、まるで絹のようなカーボンの細い繊維を束にして植え込んであり(公式サイト)、それがフローリングを掃くので、拭き掃除的な効果が非常に高いとされます。

そして、実はこのDC26のカーボンファイバーシリーズからは、タービンヘッドでもモーターヘッドでも、従来からある硬いブラシの長さがこっそり変更されて少し短くなったという話(確認済)で、もはやそれはフローリング等床面までは届かず、床を傷つける心配はないのだそうです。硬い方のブラシはこれ以降は、絨毯専用です。そういう話なのであれば、そう宣伝してくれれば助かるのですが・・・。

ただし、そうは言っても、これは良いことだけを意味する訳ではありません。何故なら、実はこの新方式ヘッドの採用以降、ダイソンは海外掃除機が自慢とするダストピックアップ率を公表できなくなってしまったからです。フローリング上では、新ブラシの効果で100%に近い数値が出るでしょう。しかし、絨毯上では、ヘッドを押しつけるなりしなければ、絨毯の底にまで硬い回転ブラシが届かなくなっているからだと思われます。…もっとも、ダイソンの、特にモーターヘッドの機種では、ヘッドの床への吸い付きが良いので、それでも日本製の機種よりは良い数値が出るだろうとは思いますが(タービンヘッドでの機種でも、実のところ日本製の高額機種より床への吸い付きは良いですが、所詮は回転力の弱いタービン式ということもあり、ダストピックアップ率については何とも言えません・・・)

DC26フィルター 1 DC26フィルター 2

これはDC26のフィルター部ですが、こうなってしまうとさすがに吸引力が落ちてしまいます。ダイソンでは、こうなったフィルターは水洗いをすることで、吸引力を復活させることが出来ます。

ちなみに、DC12やDC22でもフィルターはこのように後輪の中にあるはずで、DC36や最新のDC45では、ダストカップの中心部に筒型のフィルターが入っています。


その後の2011年10月17日に発売となったDC36(ダイソンボール)では、吸込仕事率は170Wのままで変化はなく、また、ヘッドもDC26のカーボンファイバーシリーズと特に変わらないはずです。勿論、こちらでも硬い方のブラシは床面まで届きませんで、フローリングでも一応安心して使えます。ただ、motorhead(モーターヘッド)の方だと、やはりブラシは硬いので、あまりガンガン掃除すると絨毯の摩耗が怖くはありますが(勿論その分絨毯を掻き分ける、もしくは絨毯表面のゴミを引っ掛ける力は強いです)

ちなみに、DC36ではサイクロン部が新型となり、フィルターの掃除の不要期間が、一応公式発表として2年⇒4年になると共に(ただし、DC22では7年間)、本体の取り回しが非常に良くなり、運転音も若干改善されています。なので、DC36とDC26では、普通はDC36を選びます。しかし、DC26は小型機なので、家の中がゴチャゴチャしている等、とにかく小さい方が良い方には、DC26(CF)でも良いでしょう。

DC22も残っていない訳ではないのですが、カーボンファイバーブラシ+取り回しの良さがウリのDC36まで出た以上、もはやかなり古いと言えるでしょう。


DC46

2012年9月27日には最新型のDC46が発売となっています。

しかし、これはDC36のサイクロン部の遠心分離力を約25%強化した事実上のマイナーチェンジ品で、吸込仕事率こそ10Wアップの180Wとなりましたが、ヘッドはこれまでの物を継承しているはずです。

尚、遠心分離力の強化は、普通は吸引力の持続にプラスとなるはずですが、このDC46では、フィルター清掃の目安は、DC36での約4年に1度⇒約3年に1度と、何故か25%悪化しています(汗)。


ハンディ+スティック2WAYクリーナー

ダイソン製ハンディクリーナー「DC34(現行型)と、それに延伸管と床用ヘッドをプラスした「DC35」と「DC45」ですが、これらはダイソン社のCMで、

"他の軽量コードレスクリーナーと比べ2倍の吸引力"

と宣伝しています。

これは実は本当の話で(笑)、吸込仕事率が最大64Wと、2位のマキタ製の30W(「CL180FDRFW/CL182FDRFW」)を大きく引き離しています。

その上、ヘッドにはモーター式回転ブラシを装備していますので、清掃力はかなり高いものとなります。

ただ、その代償として、ハンディクリーナーとしてのみの使用となる「DC34」こそ2万円台半ばで済むものの、床用ヘッドと延伸管を装備した「DC35」と、特に最新の「DC45」に至っては、5万円程度してしまいます。これは国内有名メーカー製の通常サイズのサイクロン掃除機のトップモデル(⇒「各社最高性能機一覧」)を買える価格ですので、強力であっても当前と言えば当前です。しかし、この価格のハンディ+スティッククリーナーを実際に販売し、しかもヒットさせることが出来るのはダイソン位だと思われますので、その意味では、ヨコ型掃除機での高価格よりも凄く見えます(汗)。


関連ページ:

ダイソンのCM問題

ダストピックアップ率の欺瞞

ダイソンの真実の真実

サイクロン掃除機の原理的欠点

ダイソンの「吸引力が変わらない」の真相

ダイソン掃除機比較

DC63/DC48/DC46/DC36/DC26/DC22(キャニスタータイプ)

DC62/DC45/DC35(2WAY)/DC61/DC34(ハンディ)

掃除機の吸引力比較