サムスン李会長、心停止は5分以内でなく8分だった

 急性心筋梗塞で11日に手術を受けたサムスン電子の李健煕(イ・ゴンヒ)会長(72)は、当初伝えられた時間よりも3分長く心停止していたことが明らかになった。

 サムスングループ側は11日「李会長は10日午後10時50分ごろ、呼吸困難や心筋梗塞を発症し、自宅から3分の距離にある順天郷病院に救急搬送された。病院到着直後に心臓まひになった。順天郷病院での李会長の心停止時間は5分以内」と発表していた。

 ところが、李会長は順天郷病院に到着する前に既に心臓まひを起こしており、心停止時間は8分以上に達していたことが本紙の取材で確認された。自宅で心臓まひの症状が始まったため、病院到着前から李会長の秘書陣が心肺蘇生(そせい)術を施し、最も近い順天郷病院に李会長を運び込んだというわけだ。

 このため、李会長の脳の損傷も当初思われていたより深刻ではないかと考えられている。通常、心停止から4分以内に再び心臓が動き出さなければ脳の損傷が始まり、7分を超えると脳の損傷がかなり進むといわれている。「単純な意思疎通が可能なくらい意識が回復しても、今後の高次脳機能回復は容易ではない」というのが神経科専門医らの意見だ。

 李会長は16日現在、サムスン・ソウル病院の集中治療室に入院し「鎮静治療」を受けている。「鎮静治療」という言葉は耳慣れないものだが「患者に鎮静剤を投与し、人為的に一定期間眠らせる治療」という意味だ。内部・外部に深刻な損傷を負った患者が急激に意識を回復すると、心身にストレスがかかったり、自律神経系が不安定になり持病が悪化する可能性があるからだ。医療陣は李会長が高齢で持病があることなどを考慮し、意識の回復を早めるよりも心臓や脳が最高の状態になるまで当分の間、鎮静治療を続けるとの方針を明らかにした。

 一方、16日の株式市場では「李会長危篤説」が急速に広まった。李会長が予想よりも長く集中治療室で鎮静治療を受けていることや、同日午前にサムスン・ソウル病院が臨時で設けていた記者室を閉鎖するという話が出たことから、株式市場で「危篤説」というデマが飛び交ったのだ。これについてサムスン・ソウル病院のユン・スンボン社長は記者らに「李会長の経過は少しずつ良くなっている。以前よりも少し良くなった状態だ」と述べた。株式市場で飛び交っている「危篤説」については「悪化していたら、(私は)ここに来ないだろう。(睡眠状態で)鎮静治療を続けている」と答えた。サムスングループと病院側は「この週末に特別な発表をする予定はない」とし、現時点では睡眠療法を継続するとしている。

ナ・ヘラン・テレビ朝鮮医学専門記者
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