私は、ある取材のため、東京の大田・江戸川・葛飾区などの中小零細工場をよく回る。すると、その工場に30年以上勤務しているようなベテランが、主力機械を「私物」でもないのに、自分の子供であるかのように慈(いつく)しむ姿をよく見かける。
韓国の工場では工作機械に、事務系の職場ならオフィス機械に、ケンチャナヨ精神に基づく「独自の修理」を施す姿をしばしば見た。
だから、工作機械の場合は、日本の半分の期間ももたずに完全ダウンしてしまうことが少なくない。完全にダウンすると、韓国の経営者は“お決まり”のように始めるのだ。
「日本の工場には良い機械を設置し、韓国には劣った機械を送ってきたに違いない」と。
韓国の船員も「私物」ではない船内の装置や備品を、ぞんざいに扱ってきたのではなかろうか。
韓国検察と警察は、沈没した旅客船「セウォル号」の僚船で、やはり日本から買った中古の旅客船「オハマナ号」への立ち入り検査を行った。韓国紙はこの結果について「救命ボート40隻は足で何度か蹴り上げハンマーでたたいても海に落下しないことが分かった。非常時に乗客が海に脱出する際に使用する脱出用シューターも作動しなかった」(朝鮮日報4月28日)と伝えている。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「日韓がタブーにする半島の歴史」(新潮新書)、「悪韓論」(同)などがある。