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【大リーグ】

メジャーで激増!トミー・ジョン手術 今年18人 原因究明へ専門委設置

2014年5月17日 紙面から

 トミー・ジョン手術の行列に並ぶ投手が後を絶たない。マーリンズは15日、エース右腕ホセ・フェルナンデス(21)が16日に右肘の靱帯(じんたい)修復手術を受けると発表した。全治12〜18カ月。米複数メディアによれば、大リーグ機構のセリグ・コミッショナーは、この通称「トミー・ジョン手術」を受ける選手の増加傾向に危機感を抱き、専門委員会を設立して原因を調査中と明かした。今年に入って同手術を受けるメジャー投手は18人目。あと1人で昨季全体の数字と並ぶ。

 日進月歩のスポーツ医学でも、雪崩のような肘の故障増加を止められない。マーリンズは、昨季新人王のフェルナンデスが肘の靱帯(じんたい)を移植するトミー・ジョン(TJ)手術を受けると発表。レドモンド監督は「注意深く守ってきたのに…。球数も起用法も細心の注意を払った。なのに、誰も答えが分からないんだ」と言葉を絞り出した。

 悲嘆するのも無理はない。昨季はメジャーデビューから7試合の球数を85以下、シーズンを通しても110以下を厳守。サイ・ヤング賞も射程圏内の成績だったが、シーズン投球回数が170イニングを超えた9月11日以降は登板させなかった。

 TJ手術を受ける選手は激増している。今年はメジャー18人目、マイナーも含めれば35人目だ。米スポーツサイトのブリーチャーリポートによれば、昨年7月の時点でメジャー全360投手のうち、3分の1以上に相当する124投手が手術を経験。1990年代はマイナーも含めて年平均5選手だったのが、00年以降は毎年25人以上、直近5年間は平均52人に膨れ上がっている。

 米放送局ESPN(電子版)は「大リーグが“伝染病”となったTJ手術の答えを模索」と報道。セリグ・コミッショナーは、専門医師らで構成された委員会で原因を究明中と明かしたが、「今は誰も答えを持っていない。全員の意見が違う」と原因究明は容易ではないことを示唆した。

 TJ手術の生みの親、ジョーブ博士は生前に「登板過多が原因」と明言。著名なアンドリュース医師も昨年、「シーズンスポーツだった野球を、今は年中プレーする弊害が大きい。現状では肉体的なリカバリーの時間が全くない」と話した。

 有望な野球少年は年中遠征で全米を飛び回り、プロ入り後も、メジャー昇格を目指してオフは秋季リーグやウインターリーグでプレーする。昨年、米野球ニュースサイトのハードボールタイムズでは「体が出来上がる24歳までに直球とスライダーに頼る剛腕投手は、特にTJ手術のリスクが高くなる」との研究結果が発表された。世界の野球界のためにも、専門委員会の一日も早い原因解明が待たれる。

 

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