(5982)マルゼン 2014年2月期 第3四半期決算

業務用厨房大手のマルゼンが2014年2月期第3四半期決算を発表した。売上高320億円(前年比3.7%増)、経常利益33億円(同2.7%増)、純利益(同7.3%増)と、増収増益となった。

厨房関連機器業界は、主にレストランやホテルで利用される電気冷蔵庫や電磁調理器、食器乾燥機などを製造し販売している。業界最大手はホシザキ電機で売上高は1788億円。マルゼンは業界5位で前期売上高は404億円だ。

(図一)連結損益(単位百万円)
マルゼン1

売上高など総て上昇基調。外食産業は年々減少傾向にあり、97年の29兆円をピークに12年は23兆円まで減少した。これは主に労働生産人口(働く人の数)が減少しているためだ。今後は働く人の数に含まれなかった、女性や高齢者の労働参加率が高まるため、労働生産人口の減少にいったん歯止めがかかると予想されている。つまり、外食産業にそれほど悲観的にならなくても大丈夫だ。

(図2)BPSとEPS
マルゼン2

BPSは年率8.2%成長。EPSは年率16%成長した。現金及び現金同等物はわずか4年で38億円から100億円とおよそ2.6倍も増加した。これはキャッシュを稼ぐ力が相当あるためだ。

(図三)連結キャッシュフロー(単位百万円)
マルゼン3

年間2~4億円の投資にもかかわらず、毎年その10倍の20~35億円ものキャッシュ稼いでいる。結果、現金および現金同等物が4年で2.6倍にも膨れ上がった。キャッシュフローは極めて優秀でかなりいい。分散先候補にしたいところだが、気になる点がある。それはマルゼンの経営者に、投資家に還元する姿勢が消極的なことだ。

マルゼンの事業は多額の投資を必要としないので過剰な現金を持つことに意味はない。時価総額が190億円にも関わらず100億円の現金を持っていることに疑問を感じる。そうした過剰な現金は、配当金や自社株買いなどで投資家に還元されるべきだからだ。しかし、マルゼンの経営者はそうした姿勢に極めて消極的だ。過去5年を振り返ってみても自社株買いの実績はなく、増配はしているものの、配当性向も16%と低い。

マルゼンのキャッシュフローは極めて優秀だが、投資家に還元する姿勢が消極的だということだけが気になる。そのせいか、過去5年のPERを見ても5~8倍と万年割安株。現在のPERは8.49倍、PBR0.78倍となっている。

★★★
(追記)
★★★
読者からの指摘でわかったのだけれど、マルゼンは11年に5億92百万円の自社株買いを実施していた。つまり、マルゼンはキャッシュを生み出す力が相当強くて、さらにそのキャッシュを自社株買いなどで投資家に還元している優れた企業。配当性向は16%と低いものの、自社株買いは好感できる。マルゼンはぼくの分散候補銘柄。

楽観と不安の間


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米ニューヨーク連銀が発表した1月のニューヨーク州製造業業況指数は、予想プラス3.75に対して結果プラス12.51(前月比プラス2.22)と、およそ1年半ぶりの高水準だった。指数は0が景況判断の分岐点で、指数がプラスの場合は景況感が良くて、逆にマイナスだと景況感が悪化していることを意味する。

内訳を見ると、新規受注がプラス10.98で、これはおよそ2年ぶりの高水準。また、雇用関連では従業員数が前月の0からプラス12.20に改善した。ただ、6ヶ月先の見通しでは、業況指数が前月38.96に対して今月37.51と低下した。

12月の米小売売上高はコアベースで市場予想(前月比)0.3%増に対して同0.7%の増加となった。先日発表された米雇用統計の下振れは寒波による悪天候のためという意見が一層広まった。

つまり各指標を見ると、米景気は緩やかに回復しているが、市場参加者たちは楽観的になれず、一抹の不安を抱えていることがわかる。ただ、景気の改善は必ずしも株価の動きを保証するものではないから、たとえ景況感指数が改善していたとしても、予想を下回った場合、株価は下落する。

株式市場は短期的にみればゼロサムゲームだから、株価の変動で損する人がいれば、同じように得する人もいる。長期投資家はそうした短期的な株価の変動で得した人に嫉妬して売買を繰り返してはならないし、景況指数はあくまで全体の流れのほんの一部として参考にするだけで、売買の参考にしてもならない。

(2651)ローソン 2014年2月期第3四半期決算


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マチのほっとステーション、ローソンが2014年2月期第3四半期決算を発表した。

売上高3700億円(▲0.6%減)、経常利益550億円(3.6%増)、純利益304億円(6.7%増)と、減収増益となった。直営店の減少により売上高は減収となったが、同時に売上原価を引き下げたため増益となった。

株価は過去最高の8000円(PER24倍)付近で推移しているため、予想通りの決算に利益確定売りが続いている。また、12月の連結既存店売上高は前年比100.2%と前年並みの水準となった。これは客数の減少(前年比99.5%)を客単価(同100.7%)がカバーした。

(図一)連結損益(単位百万円)
ローソン1

売上高は鈍化傾向にあるが、経常利益と純利益は上昇基調にある。ROEは前年15.16%で、ファミリーマート(ROE10.94%)、セブンアンドアイHD(7.55%)とコンビニ大手三社の中で圧倒的に高い水準だ。ローソンCEOの新浪剛史氏はハーバード大でMBAを取得しており、そうした米国型マネジメントがローソンの経営基盤となっている。おそらく日本で一番ROE(自己資本利益率)を意識している経営者ではないだろうか。将来はROE20%を目標にしている。

(図二)BPS、EPS
ローソン2

EPS(一株当たりの利益)は年率8.5%で成長しているが、BPS(一株当たりの純資産)は年率3.5%成長と、純利益に比べて純資産の伸び率が圧倒的に低い。これはROEを高めるため、過剰な資産はすべて投資家に還元しているためだ。

(図三)キャッシュフロー(単位百万円)
ローソン3

本業の儲けを表す営業CFは上昇基調にある。ぼくは安定した収益が見込める企業を好むのだけれど、「安定」より「成長」の方がなお良い。国内では中食需要が増えること、そして中国をはじめとしたアジア事業が軌道に乗れば、まだ成長の余地は十分にある。

総需要が低迷する国内市場では、コンビニの将来に悲観的になる人もいるけれど、共働き世帯が増えることで中食需要はまだ伸びる余地が高い。これは賃金の持続的な上昇が見込めないため、共働きが増える傾向は今後も続くと思われるからだ。

キャッシュフローの推移も大手コンビニ三社の中で一番きれい。輸出企業と違い業績が大きく変動することも少ないので投資家にとっておもしろみのない株だが、長期で持つにはいい銘柄。ただ、長期投資だからと言って、PER25倍の株はおススメしない。安定した収益が見込めて、配当性向が60%と非常に高いローソンを買うなら、できれば不況時に低PERで買った方がいい。
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いまから7年ほど前に僕は、投資についてはじめて真剣に考えた。そして、「株式投資で成功するなんて簡単だ」と気がついた。

1989年、日経平均株価が3万8915円をピークに下がり始め、2008年11月には一時6994円まで大きく値を下げた。この20年間、日本株の長期投資で成功した人はほとんどいない。2011年の日本経済新聞には「日本株でバイアンドホールド戦略の時代は終わった」との記事。

当時、僕はそもそもどうして株価が上がったり下がったりするのかすらわからなかったので、投資や経済、金融に関する本を200冊以上読んだ。そしたら株はすごく簡単で、成功するために必要な投資戦略は一文で表せることに気がついた。それは「安定した収益が見込める日本株を割安で買い、長期で保有する」だけでいいのだ。僕の結論は当時のコンセンサスとは真逆、非常識だった。

同時に僕は、日本株の長期低迷の原因が不合理で割高なPERであったことを知り、そして当時(2011年)がおよそ40年ぶりの日本株買いチャンスだということがわかった。

僕が投資先を選ぶうえで一番大切にしているのは財務三表のひとつキャッシュフロー計算書だ。売上高や利益が記載されている損益計算書が「会社の意見」と言われているのに対して、キャッシュフロー計算書は「事実」と言われている。つまり損益は誤魔化しやすく、キャッシュは誤魔化しにくいのだ。

僕は上場企業3600社を、営業利益率やROEなどの簡単な指標を使ってスクリーニングした後、残った150社分のキャッシュフロー計算書を総て読んだ。そして僕はわずか一銘柄に2000万円集中投資した。

僕が150社分のキャッシュフロー計算書を閲覧した方法は、各企業のIRから有価証券報告書を見てなんて面倒なことはしない。実はGMOクリック証券
を使えば150社分のキャッシュフロー計算書なんてサクッと読めてしまうのだ。僕は誰よりもたくさんのキャッシュフロー計算書を読んできた。そして今でも気になった銘柄のキャッシュフロー計算書は必ずチェックする。

ピーターリンチの言葉を借りれば、誰よりも多くの石ころをひっくり返した者だけが、宝石を見つけることができるとのこと。石ころをひっくり返すのも、たくさんのキャッシュフロー計算書を読むのもやったもん勝ち。

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