露呈したメガバンクと日銀の微妙な距離感

前期決算で明らかになった「国債保有方針の違い」

決算会見で国債売却の”打ち止め”を宣言した三井住友銀行(撮影:今井康一)

5月14日に3メガバンクグループが発表した2014年3月期の決算は、いずれも最高益を更新するという好決算だった。一方、貸出とともに各銀行の収益源となっている市場運用では、3グループの間で興味深い違いが出た。

最大のポイントは国債保有残高の動向だ。三井住友フィナンシャルグループは13年3月末の26.2兆円から14年3月末で13.8兆円まで減らした(三井住友銀行単体ベース)。金額にして12.4兆円、実に約5割の減少だ。一方、みずほフィナンシャルグループは8.8兆円(みずほ銀行とみずほ信託銀行の2行合算ベース)、三菱UFJフィナンシャル・グループは8.1兆円(三菱東京UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行の2行合算ベース)減らした。

いずれも金額ベースでは8兆円以上というドラスティックな減少額だが、前期末比での減少率でみると、みずほが約3割、三菱は約2割と、三井住友ほどではない。

メガバンクが国債を売った理由

メガバンクに限らず、国内銀行は資金需要の低迷を受けて貸出が思うように伸びず、預金量が貸出量を上回る預金超過の状況が常態化してきた。そのため、貸出に回せなかった預金の一部は安全資産である国債投資に振り向け、その保有残高を膨らませてきた。

にもかかわらず、メガバンクがこの1年で急激に国債の保有残高を減らす方針に転じた背景にあるのが、昨年4月に日本銀行がブチ上げた大量の国債買い入れによる金融緩和だ。黒田東彦総裁が「次元の違う金融緩和」と述べたが、巨額買い入れを支えたのが、3メガバンクグループによる大量の国債売却だった。

日銀の異次元緩和によって、国債発行残高に占める日銀の保有割合は18.6%(13年12月末)と1998年6月末の19.5%に次ぐ過去2番目の高さに上昇した。デフレ脱却を目指す日銀は、国債買い入れによる金融緩和を今年も継続する。

そこで気になるのは、メガバンクが大量に売り、それを日銀が買い取るという構図が今後も続くのか、だ。

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