河北春秋
  • 記事を印刷

 靴を買いに行った時のこと、店員が「右だけ擦り減る人がいます。重心のかけ方の違いからです」。話を合わせるように、河北川柳で<安倍さんの片減りの靴音高し>。憲法9条はそのままにして、読み方を変えて集団的自衛権を使えるようにしたいと安倍晋三首相は言う

 ▼8年前の第1次安倍政権の時も、なぜ無理をするのだろうと当時の防衛事務次官でさえ、いぶかっている。「懸案がほかにあるのに、どうしていま集団的自衛権を議論する必要があるのか」(守屋武昌著『普天間交渉秘録』)▼この時の優先課題は教育基本法だった。いまの自民、公明連立政権の合意を読んでも、まず震災からの復興、次に経済である。会社の会議などで、通したい議題を後ろに持ってくるタイプがいる。さてはその手か

 ▼かつて自民党にはいさめる議長役がいた。それが、ハト派とされる高村正彦副総裁まで頻繁に講演し、解釈変更をPRしている。もとは三木武夫元首相の流れをくむ派閥。「防衛費のGNP比1%枠」を決めた政治の師は嘆いていないか▼山登りは思い込みを恐れるという。山中迷い、真っすぐ下山しているつもりでも歩き足はそれる癖がある。円を描いてまた同じ所に戻ってしまう。近づく軍靴の音、いつか来た道に戻らないと誰が言えよう。


2014年05月17日土曜日

Ads by Google

先頭に戻る