「孤独死」――誰にも看取られずに自宅で亡くなり、死後、2、3日以上たってから遺体が発見される死。独り暮らし世帯がいま、増えている。とくに65歳以上の高齢者の独り暮らしは増える一方だ。これからは誰にとっても他人事でなくなる孤独死の実態を、データや現場の声を通して描く『孤独死のリアル』(講談社現代新書)。著者・結城康博氏は、介護保険など社会保障政策の論者として知られるが、以前は都内区役所のケアマネジャーなども経験した福祉専門職員。現場経験も長い。その経験や視点をふまえた同書について語ってもらった。(聞き手=編集部)
孤独死に関わる人々を全国に訪ねた
――この本では、孤独死の現場に関わるさまざまな人の話が出てきますね。
結城 ひとりの人が孤独死で亡くなると、ほんとうに多くの人が関わることになります。遺体が発見されたらまず警察、検視医など。そのあとは葬儀業者、僧侶、便利屋や遺品整理業者、行政の担当者、アパートの大家などです。
また、孤独死を防ぐために、いろいろな取り組みや、行政が民間と組んだサービスも行われています。行政による戸別のゴミ収集サービスなどもあります。自治会やNPO、新聞やヤクルトの販売所、診療所の人たちに、話を聞きに行きました。
――取材先で、いちばん印象に残ったのは?
結城 いろいろありますが、強烈だったのは、遺体を扱う葬儀業者から聞いた話です。孤独死の場合、2、3日中に遺体が発見されればまだよいですが、1ヵ月近くなってしまうと……、グジャグジャになってしまい、大きなビニール袋に入れて、くるまなければならなくなります。臭いもすさまじいです。部屋も、遺体からにじみでた脂で床をすべて張り替えなければならない状態になります。
家族が身元確認をしたら、そのあと遺体を扱うのは葬儀業者です。こんなケースでは、葬儀でも故人のご遺体との「最期のお別れ」はありません。
そういうわけで、葬儀業者は孤独死の実態をよく知っているんですね。
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