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有識者懇談会“行使容認”の報告書提出
5月15日 16時01分

有識者懇談会“行使容認”の報告書提出

安倍総理大臣が設置した有識者懇談会は憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認するよう求める報告書を提出しました。
これを受けて、安倍総理大臣は夕方記者会見し、政府としての検討の進め方の基本的方向性を示し、憲法解釈の変更の閣議決定を視野に与党協議を行い、法整備を進めていく考えを表明することにしています。

有識者懇談会は15日午後、7回目となる会合を開き、座長を務める柳井俊二元外務事務次官は「今回の報告書には集団的自衛権の行使を行えるようにする、あるいは国連の集団安全保障措置にも参加できるようにするという提言も含まれている。提言を実際の政策にどう生かしていくかは、立法措置を含め政府の検討にかかっており、報告書がそうした政府の検討の一助になることを切に希望する」と述べ、安倍総理大臣に報告書を提出しました。
これを受けて、安倍総理大臣は「安全保障の原点はいかなる状況にあってもわが国の安全を確保し、国民の生命・自由・幸福・平和を断固として守り抜くことだ。そのために必要な法的基盤を盤石にするという確固たる信念を持って真剣に検討を進めていく決意だ」と述べました。
報告書は北朝鮮の核やミサイルの開発、中国の海洋進出の活発化などを指摘し、日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しているとして、日本の平和と安全を維持し地域や国際社会の平和と安定を実現していくうえで従来の憲法解釈では十分に対応できないとしています。
そして、報告書は憲法9条を巡る憲法解釈は国際情勢の変化のなかで戦後一貫していたわけではなく、政府は憲法の制定過程では、自衛権の発動としての戦争も放棄したと説明していたものの冷戦が進行し、朝鮮戦争が勃発したあとは、自衛のための武力行使や自衛隊のような自衛のための実力部隊を設けることは憲法に違反しないとして、憲法解釈を変えたなどとしています。
そのうえで、憲法9条が禁じているのは日本が当事国である国際紛争を解決するための武力の行使で、自衛のための武力の行使は禁じられておらず、国連のPKO活動や多国籍軍などの集団安全保障措置への参加に憲法上の制約はないとして、憲法9条が禁じる「武力の行使」の解釈の変更を提言しています。
また、憲法上認められる必要最小限度の自衛権の行使に集団的自衛権は含まれないとしている憲法解釈について「今日の日本の安全が個別的自衛権の行使だけで確保されるとは考えがたく『必要最小限度』の中に集団的自衛権の行使も含まれると解釈すべきだ」として、憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認するよう求めました。
そのうえで、行使する際の要件として、▽密接な関係にある国に対し武力攻撃が行われること、▽日本の安全に重大な影響を及ぼす可能性があること、▽攻撃された国から明確な支援の要請があることなど6つの要件を挙げています。
一方で、集団的自衛権を行使する自衛隊の活動の場所について、憲法解釈上、地理的な限定を設けることは適切ではないとしています。
そして、集団的自衛権の行使を容認しなければ実行できない事例として、▽日本近隣の有事の際、アメリカの艦船を防護することや他国の不審な船舶に対して強制的に検査すること、▽アメリカが武力攻撃を受けた際の支援、それに▽日本が輸入する原油の大部分が通過するシーレーン=海上交通路で武力攻撃が発生した際に国際的な機雷の掃海活動に参加することを挙げています。
また、国連のPKO活動や集団安全保障については、PKO活動に参加する国連職員などの文民が攻撃を受けた場合に、自衛隊が武器を使って救援できるようにする、いわゆる「駆け付け警護」や妨害を排除するための武器の使用は武力の行使には当たらず、憲法上の制約はないとしているほか、武力攻撃を伴う多国籍軍などの集団安全保障措置に積極的に貢献すべきだとしています。
このほか、武力攻撃に至らない侵害、いわゆるグレーゾーンについて、海上保安庁などが速やかに対処できない離島で武装集団が不法行為を行う場合などを挙げ、実力の行使も含め、切れ目のない対応を可能とする法制度を充実させていく必要があるとしています。
報告書の提出を受けて、政府はNSC=国家安全保障会議の4大臣会合を開催し、この中で、安倍総理大臣は集団的自衛権の行使容認に向けて、政府としての検討の進め方の基本的方向性を確認したうえで、夕方6時から記者会見に臨むことにしています。

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