こんにちは。日本ディレクション協会 関西支部の出原です。
関東では既に何度も開催されている「0からのWebディレクション講座(通称0ディレ)」が、ついに関西でも開催されたので、今回は参加レポートの形を取りながら、そこで得た学びや思ったことなどをまとめてみたいと思います。
まずは資料スライド公開から
これを見るだけでもほぼ内容が把握できてしまいますが、せっかくなので以下に要点と個人的な留意点をまとめておきました。
ぜひぜひお役立てください。
コンテンツインデックス
- 前提となる背景、目的、課題を明確に言語化
- ポジションの把握とコンテンツ設計
- より具体的なユーザー定義
- 全ての根拠となるゴールをハッキリ設定する
1.前提となる背景、目的、課題を明確に言語化
今回喋っていただいたのは、東京講演でも人気講師としておなじみの高瀬さん。
プロジェクトの裏側にどんな背景があって、どんな課題があって、それをどうしたいのか?これをとにかくわかりやすく言語化しないと何もできないよー。的なことを本当にわかりやすく教えていただきました。
それこそ新人さんでも当たり前に知ってる常識 ... のハズなんですが、講演後のワークショップで本気になって考えてみると思いのほか難しくてビックリ。ちょっと反省しました。
ディレクターは極論、一人じゃなんもできない職種です。とにかく誰にでも分かる形にしてプロジェクトメンバーで共有しなければ何も始まらないし作れない。もぅどうしようもないんです。
なんとなく「わかったつもり」「やってるつもり」じゃあ共有できないんですよ。
そこで、その理解を助けるために高瀬さんが用意してくれたのが以下のワークショップ用シートです。
実際のワークショップで使った資料
この資料の存在も使い方も事前に知っていたにも関わらず、あると無いとであまりにも違う理解の早さと深さ、思考フローの大事さにちょっと感動してしまいました。
以下、シート状のそれぞれの項目についてザックリ解説していきたいと思います。
2.ポジションの把握とコンテンツ設計
ものすごく大枠でまとめてしまえば、コンテンツとはつまりユーザーに提供するモノ・コト全てとなります。
が、マーケットにおける勝負である"ビジネス"において勝つためのコンテンツとなると話は別。
提供するモノ・コト(=コンテンツ)を設計するにはまず "サービスが今いる&これから目指すポジション" を明確にする必要が出てくるんです。
具体的な競合調査とポジション設定の考え方
実際のワークショップでは
- ビジネスモデル|集客方式
- 提供する価値|サービスの性質
- 利用ユーザーの心理属性(年齢や住所ではなく、どんなことを考えてサービスを使うか?を基準とした属性)
などなど...。
かなり色々な視点で見た競合サービスをリストアップし、それと比較して対象サービス(ビジネス)がどのポジションに位置するのか?を決めていきました。
ここでも単純に【同じ業界の競合他社】ばっかりを見てしまっていた過去の自分の仕事を反省。。。そりゃそーですよね。競合ってそれだけじゃないっすよね。
3.より具体的なユーザー定義
今回のワーク内で最も慎重にならないといけない部分だと僕は感じました。なぜならここで失敗こいたから。
「どんな人に?どんな時に?どんな風に?何を感じて使って欲しいの?」
ここをバシッと決めてから設計に入らないと、もうどんどんフワフワしてくるんですよ。何がやりたかったのか分からなくなってくる。
ポイントは、できるだけ具体的なユーザー像を描くこと。
以下のように、とにかくそのユーザーの思考をなぞれるくらいまで細かく想定を行うイメージですね。
- どんな心理状態でサービスに触れるのか
- サービスに何を期待し、使ってみて何を感じるか
- 最終的に何をしたいと望むのか
講師曰く、「30代の女性で仕事と家事の両立に困ってる人」よりも「毎日仕事で帰りが遅く、なかなか自炊ができなくて栄養バランスが気になる34歳のA子さん」といった感じ(実際もっと細かいです)で、リアルな知人をモデルにしてしまうと早いんだとか。
年齢などの属性より「どんな風に考える人なのか?」を明確にしていくフローは、まさに「ナルホドメカラウロコ」でした。
4.全ての根拠となるゴールをハッキリ設定する
指標としては普通にKPIやKGIが使われていましたが、要は最終的にどうなって欲しいのか?をユーザーサイドから考えられることが大切とのこと。
売上なのかアクセス数なのか、何がどうなればこのプロジェクトの目的が達成できたと言えるのか(KGI設定)
そして「その数値が上がっていく」ということが、つまり "ユーザーがなんと感じてどんな行動を取ってくれた"からなのか?(KPI指標)
これらの判断基準となる数値を明確に定めていきました。以下がその時の思考フロー。
- ビジネス上の最終的なゴールを明確にする
- そのために必要な数値目標を立てる
- 数値目標を達成するためにあげるべき指標を仮定する
- 設定した指標を上げるためにユーザーに何をしてもらえばいいのか?を仮説立てる
- ユーザーにその行動を取ってもらうために何を感じてもらえばいいのか?を決める
んーむ、シンプル。
これらをしっかり定義すると、サイトとして目指す方向やゴールが非常に明確に。達成するために何が必要か?がクッキリ見えてきたように感じました。
学んだ事をすぐにワークショップで体験できるってのはやっぱ素晴らしいですね。
そして明確になるコンセプト&情報設計
上記で紹介している "ゴールからの逆算する考え方" を踏襲すると、一気に「何を作ってどう届けるべきなのか?」が明確になっていきます。
もうなんか制作物のコンセプトが固まってくるんですね。
今回の講演では、上記の流れを6名1組のワークショップで2時間みっちり実践 ⇒ 最初は「何からすればいいの?」状態だった会場が徐々に理解を深めてテンション上げていくのはなんだかワクワクしちゃいました。
お題もチーム毎に違っていて、「なるほど このワークショップこそが0ディレの醍醐味なんだなぁ」と実感。
やっぱ座学で脳みそに情報入れるだけよりも断然理解が深いように思います。
割と時間のあるかたはこちらも
過去に開催された関東版の0ディレ設計編のレポートです。これまたものすごくわかりやすくまとまっているので必見です。
内容も結構アップデートしてるので読んでおくと包括的に学べるかもしれません。
なぜか関西ってディレクション系のセミナーが少ない
Web制作に関するセミナーは数あれど、ディレクションに特化したセミナーって関西では少ないです。
いや ... 少なかった。というか。
でも、関西でもディレクションのセミナーが動き始めたんです。ようやく。
日本ディレクション協会 関西支部はまだ発足したばかり。まずは0ディレを通して、関西でもディレクションについてみんなで考え、学び、いいプロジェクトが生まれるきっかけになっていければと思います。
少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひ次回の0ディレ「制作・開発編」へご参加ください。関西のパワーを東京から来ていただく講師の方々にも全身で感じていただきましょう。
第2弾 制作・開発編
5月24日(土)13:00~19:00 講師:小嶋 裕亮
0からのウェブディレクション講座@関西":第二弾「制作・開発編」
サイト・サービスの立ち上げのフェーズについて、ディレクションが果たすべき役割にてついて解説。実際にディレクターが現場でやっている業務の一部をワークショップとして体験してもらいます。
| 日時 | 5月24日(土)13:00〜19:00(開場12:40) |
|---|---|
| 料金 | 3,000円(懇親会費別) |
| 会場 | oinai karasuma(〒604-8152 京都府京都市中京区手洗水町647) |
| 主催 | 日本ディレクション協会 |
第3弾 運用編
6月21日(土)13:00~19:00 講師:中村 健太
※詳細は日本ディレクション協会のサイトで追って告知予定です。
著者:出原 啓太|日本ディレクション協会 関西支部所属|関西全域ををこよなく愛するWebディレクター
編集:ナカムラ