ようやく政府が動き出した。
出典:毎日新聞人口減少毎日新聞 2014年05月13日 11時30分 政府の経済財政諮問会議の下に設けられた「選択する未来」委員会(会長・三村明夫日本商工会議所会頭)は13日午前、急激な人口減少に対応するため、「50年後(2060年代)に人口1億人程度を維持する」との政府目標を盛り込んだ中間報告をまとめた。今後、集中的に対策を講じ、1人の女性が一生に産む子ども数に相当する合計特殊出生率(12年=1.41)を2.07程度に引き上げる。政府が人口維持に向け、具体的な目標値を提示するのは初めて。 近く諮問会議に報告し、政府が6月に策定する経済財政運営の基本方針「骨太の方針」に盛り込む。会合後、記者会見した三村氏は「1億人(維持の)達成は非常に困難であるが不可能ではない。目標化には一部異論もあったが、国の目標として定めることがみんなを動かす時に必要だ」と強調した。 日本の総人口(13年)は1億2730万人。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、48年には1億人を割り込み、60年には約3割減の8674万人になる。65歳以上の占める割合も13年の25.1%から、60年に39.9%にまで拡大する。 中間報告は「社会・経済の抜本改革をしなければ国際的地位や国民生活の水準が低下し、社会保障給付が増加して財政破綻を招く」と指摘。30年に出生率を2.07に引き上げ、同水準を維持することで60年人口を1億545万人程度にするとしている。65歳以上の割合も33%に抑えるという。 人口を維持するため、中間報告は出産・子育て支援策を拡充し、出生率を引き上げるよう提言。高齢者に手厚い社会保障の予算を見直して財源を捻出し、子育て世代に重点配分する。産業の新陳代謝をはかり、70歳まで働ける社会を目指すことも盛り込んだ。【中島和哉】
このように、日本の人口が減少をはじめたことはご存じだろう。
日本は先進諸国の中でも「人口減少対策」をまったくしてこなかった国である。
残念ながら手遅れに近い惨状だ。
出会いの場を提供すること、地域に子育て世帯を勧誘すること、若者に魅力ある地域にすることなど、自治体では試行錯誤が続いている。
しかし、そんなものは応急処置的で、根本的な解決には至らない。
子どもを産み育てるのは、10代~40代の若年層である。
そして若年層は、働ける世代であり、稼働年齢層(15歳~64歳)である。
人口減少対策は、稼働年齢層が対象だということに注意が必要だ。
この若年層を取り巻く現在の生活環境は非常に厳しい。
皆さんもその中にいるから当たり前のようになってしまっているが、長時間労働を含めた異常な働き方がある。
出典:SankeiBiz週49時間以上働く長時間労働者の割合が日本は、23%で米国の16%、英国、フランスの12%を上回る。 これに反比例するかのように、夫の家事・育児時間をみると、日本は欧米主要国の半分以下にとどまっている。 長時間労働の夫が家事や育児に十分に取り組めないことが、女性が就労や出産に二の足を踏む要因とも考えられる。
この長時間労働を制限しない限り、人口は減少するといっても過言ではない。
そして、残業をしないと賃金が少なくなり、さまざまな生活費の負担に耐えられない。
住宅ローンの返済、自動車ローンの返済、生活日用品費、高騰する高熱費、保険料の積立など、お金はいくらあっても足りない。
そして、教育費。
すでに子どもがいる子育て世帯は、子どもを育てること自体が困難な状況に追い込まれている。
例えば、子どもの教育費を捻出するために、夫婦共働きで疲れきっている。
高等教育に必要な入学金や授業料の高騰は、先進諸国でも例がないほどの実態だ。
それは、文部科学省の「国立大学と私立大学の授業料等の推移」というデータでも明らかだ。
欧州では大学授業料が無料であったり、支給型の奨学金があるため、教育費のために貯蓄をすることなど考えられない。
また、住宅も公営住宅が安価で相当数提供されており、住宅ローンの返済に苦しむ国民が日本ほどいない。
そして、同時並行で、子育て世帯の長時間労働が家事や育児を困難にしている。
また、離婚を経験したひとり親家庭は、児童扶養手当や児童手当の支給金額が低いため、働きながら苦労して子育てをしている。
政府の支援がないために、民間が独自で工夫を始めた「シングルマザー向けシェアハウス」も人気と伝える記事がある。
政府が人口減少対策に乗り出すことは歓迎したい。
そして、高齢者も含めた合意形成を急ぎたい。
何も手を打たないでどうにかなるレベルではないという認識がすべての国民に必要だ。
具体的には、長時間労働の是正を求めるだけでなく、非正規雇用という不安定な就労形態に対する支援策が必要だ。
非正規雇用の若者が増え続けている。結婚をためらう理由の大きな部分は収入の低さと将来に対する不安である。
また、大学など高等教育の無償化、若年層に対する「家賃手当」や子育て世帯に対する「児童手当」や「児童扶養手当」の大幅増額など若年層や子育て世帯が無理しなくても暮らせるように、実質的な支援策が求められる。
これは欧州と比較しても決して「甘え」ではない。当たり前の政策が日本にはないのだから。
さらに、昔の日本は、多くの世帯が核家族ではないため、祖父や親族などが家事や育児もシェアし、負担を分かち合ってきた。
残念ながら、良くも悪くも、現在の家族の主流は、核家族である。
人口減少社会の到来は、まさに家族や地域、企業に任せる「自助」「共助」の限界を物語っている。
そして、私たちが自身の生活の仕方や働き方などを見つめる中で、子ども育てられない要因を政治や政策に訴える必要がある。
皆さんが実感している生活のしづらさや生活の大変さは、皆さんだけでなく、わたしを含めた多くの若年層や子育て世帯が共感しているものだ。
「こうなればいいのに」、という声を政策に反映させるしかない。
政治が真剣に人口減少を抑制して、国力を増強しようと言うならば、やるべきことは見えているはずだ。
少子高齢社会において、若年層と子育て世帯は、社会的弱者である。政治にも距離が遠い人々ともいえる。
だから、これまでは高齢者中心の社会保障になるのは当たり前であっただろう。
しかし、それでは日本は衰退する。
ぜひ政治には、リーダーシップを発揮していただき、労働や教育、住宅、所得保障、子育て支援などの縦割り政策を横串しにさした取り組みを始めていただくことを期待している。
※Yahoo!ニュースからの転載
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