新年度のクラス表が春休み中に生徒たちの間に出回っていた−。滋賀県内にある県立高校の男子生徒が今年3月、教諭のパソコンのユーザーIDとパスワードを盗み見して学校のサーバーに不正アクセスし、クラス編成案や休み明けのテスト問題、入試や定期試験など生徒980人分の成績を入手。このうち、クラス編成案は無料通信アプリ「LINE(ライン)」で同級生ら35人に送信した結果、情報があっという間に300人以上の手元へ拡散した。学校現場にパソコンが普及する中、個人情報に対する学校の管理体制や生徒たちの「情報モラル」が問われる事態になった。(桑波田仰太)
卒業式を前日に控えた2月28日。当時2年生だった男子生徒は、卒業式実行委員の一人として、他の委員の生徒や担当教員ら十数人とともに式のリハーサルのため体育館にいた。そこで舞台上のスクリーンに、卒業生たちの思い出となる写真を映し出す作業を手伝っていた。
スクリーンに映し出す写真のデータを操作するパソコンは、一定の時間が過ぎるとロックされ、再起動するにはパスワードの入力が必要だった。このため、パソコンの持ち主の男性教諭(49)はスムーズに作業ができるようにと、自分のパスワードを付箋に書き込み、パソコンを置いていた机の上に貼った。
またパソコン画面でパスワードを打ち込む際には、教諭のユーザーIDが自動的に表示されていた。男子生徒はそれに気付き、画面上のユーザーIDと机の上のパスワードを暗記した。
copyright (c) 2014 Sankei Digital All rights reserved.